【東京版】ドローンはどこで飛ばせるか|5層の判断フローで確認する個人空撮の飛行場所(2026年版)

東京でドローンはどこで飛ばせるか:5層の判断フローで確認する個人空撮の飛行場所

ドローン空撮 実務ガイド #3 情報確認日:2026年10月23日 出典の利用条件確認:2026年10月26日

「この場所でドローンを飛ばしてよいか」という問いには、単一の法律では答えが出ません。重要施設周辺の規制、航空法、土地の所有権・管理権、公園や河川などの個別ルール、そして周辺への配慮。これらを順に確認して、初めて判断できます。

本記事では、この確認を5つの層に整理した判断フローを示し、東京都内で個人が空撮を計画する際の実情を、公的機関の資料に基づいて解説します。

Note:本記事は2026年10月23日時点で確認した公開情報に基づく解説であり、法的助言ではありません。公園や河川の利用ルールは管理者ごとに異なり、変更されることがあります。実際の飛行前には、各管理者に最新のルールを確認してください。

本記事で得られる3つのポイント

  • 判断の全体像
    飛行可否を決める5つの層と、それぞれの確認先
  • 東京の実情
    都立公園、区立公園、河川敷、道路、寺社などで、実際にどのようなルールが適用されているか
  • 誤解の訂正
    「100g未満なら自由」「河川敷なら自由」「道路の上は届出が必要」など、よくある誤解と公的資料に基づく実際

なぜ重要か

ドローンの飛行場所に関するトラブルの多くは、「航空法の許可が不要だから飛ばせる」「重量が軽いから規制対象外」といった、一つの層だけを見た判断から生じます。とりわけ東京は、重要施設、人口集中地区、空港、厳格な公園ルールが重なる地域です。層ごとに確認する習慣がないと、知らないうちに複数のルールに抵触する可能性があります。

1. 判断の全体像:5層の確認フロー

次の5層を上から順に確認します。どの層で「不可」になっても、その場所での飛行は計画の見直しが必要です。

層 確認する内容 主な根拠 主な確認先・ツール 重量による除外
第1層 重要施設とその周辺(レッドゾーン・イエローゾーン) 小型無人機等飛行禁止法 地理院地図、警察庁 なし
第2層 飛行空域(DID・空港周辺・150m以上)と飛行方法(夜間・目視外・30m未満など) 航空法 地理院地図、DIPS 2.0、国土交通省 100g未満は対象外
第3層 離着陸場所と飛行範囲の土地の所有権・管理権 民法、施設管理権 土地所有者・施設管理者 なし
第4層 公園・河川・道路・寺社などの個別ルール 公園条例、河川利用ルールなど 自治体、河川事務所、各管理者 多くの場合なし
第5層 プライバシー、騒音、他の利用者への影響 総務省ガイドラインなど 現地の状況確認 なし

重量による除外があるのは、実質的に第2層(航空法)だけです。100g未満の機体であっても、第1層・第3層・第4層・第5層の確認は省略できません。

2. 第1層:重要施設周辺の飛行禁止エリア

2026年7月14日施行の改正小型無人機等飛行禁止法により、重要施設の周辺で飛行が禁止されるエリアは、施設の周囲おおむね1,000mに拡大されました。このエリアでの無断飛行には直罰が科されます。警察庁は、東京都では多くの場所で飛行が禁止されていると明示しています。

東京都心で計画を立てる場合、この層だけで候補地の多くが除外されます。地理院地図で禁止エリアを表示し、最初に候補地を絞り込むのが効率的です。改正の詳細と確認手順は、本連載の第2回「改正ドローン規制法の要点と飛行前確認手順」で解説しています。

3. 第2層:航空法(空域と飛行方法)

3-1. 許可が必要な空域

100g以上の無人航空機は、次の空域で飛ばす場合、国土交通大臣の許可が必要です。

  • 空港等の周辺の空域
  • 緊急用務空域
  • 地表または水面から150m以上の高さの空域
  • 人口集中地区(DID)の上空

3-2. 承認が必要な飛行方法

空域にかかわらず、次の方法で飛ばす場合は国土交通大臣の承認が必要です。

  • 夜間飛行(日没後から日出まで)
  • 目視外飛行(モニターだけを見ながらの飛行を含む)
  • 人または物件(建物、自動車など)との距離が30m未満の飛行
  • 祭礼・縁日など多数の人が集まる催し場所の上空の飛行
  • 危険物の輸送、物件の投下

3-3. 東京における実情

東京23区の大部分は人口集中地区(DID)に含まれます。そのため、23区内の屋外で100g以上の機体を飛ばす場合は、多くのケースで航空法の許可が前提となります。さらに、建物や車両が密集する都市部では「30m未満の飛行」に該当しやすく、夜景の撮影は「夜間飛行」の承認も必要です。

なお、2026年7月1日からは、DIDのうち都市計画法上の「工業専用地域」が許可対象区域から除外されています。ただし、これは航空法の第2層に限った緩和です。第1層や第3層・第4層の確認は引き続き必要です。

屋内での飛行について:国土交通省のガイドライン(令和8年9月29日版)は、屋内として整理された空間等での飛行には航空法の飛行ルールが適用されないとしています。ただし、施設管理者の許可が必要であることに変わりはありません。

4. 第3層:土地の所有権と管理権

4-1. 上空の飛行と土地所有権の関係

「空は誰のものでもない」と考えがちですが、民法上、土地の所有権はその上下にも及びます。この点について政府は、2021年6月に内閣官房が示した「無人航空機の飛行と土地所有権の関係について」で考え方を整理しています。経済産業省・国土交通省の資料は、その内容を次のように説明しています。

  • 土地所有権が及ぶ上空の範囲は、一般に、その土地の所有者の「利益の存する限度」とされる。
  • このため、第三者の土地の上空を飛行させる際に、常に土地所有者の同意を得る必要があるわけではない。
  • 一方で、土地所有者をはじめとする地域の理解と協力を得ることは極めて重要とされている。

4-2. 個人空撮での実務的な判断

上空を「通過する」ことと、その土地を「利用する」ことは区別して考えます。

行為 実務上の扱い
離着陸場所として土地を使う 土地所有者・施設管理者の許可が必要
特定の土地の上空で長時間ホバリング・撮影する 所有者の利益に影響し得るため、同意を得るのが安全
土地所有者が飛行禁止を表示している その土地の上空は飛行させない(所有権の侵害とされる可能性)
他人の土地の上空を一時的に通過する 常に同意が必要とは限らないが、低空・反復の通過は避ける

国土交通省の飛行ガイドラインも、自治体が公園の上空での飛行を禁止している場合や、重要文化財を含む寺社の管理者が飛行禁止の看板を掲示している場合に触れています。そのうえで、土地の所有者等が飛行禁止を表示している場合は、その上空で飛行させないよう求めています。

5. 第4層:公園・河川・道路・寺社の個別ルール

5-1. 東京都内の主な場所別ルール

場所 ルールの概要 重量による除外 確認先
都立公園・庭園 公園利用者の安全に配慮する必要があることから、ドローン・ラジコンの飛行は禁止(東京都建設局「都立公園Q&A」) なし 東京都建設局
都の海上公園 一般利用に供する施設であるため、ドローンの飛行は禁止(港湾局の取扱い、平成31年4月)。ドローンを含むラジコン類は重量に関係なく禁止(令和2年1月の都民の声への回答) なし 東京都港湾局
区立・市立公園 自治体ごとに異なる。例:練馬区は区立公園・緑地・緑道・児童遊園の693か所と区内スポーツ施設13か所でドローンの使用を禁止(区公式ページ、2015年6月掲載) 自治体による 各区市の公園担当課
荒川下流の河川敷 河川敷利用ルールで、無人航空機・模型航空機は原則として飛ばさないこととされている。100g未満の模型航空機も同様。ドローン用の「指定場所」は現在なし なし 荒川下流河川事務所
その他の河川敷 河川法上、単なる飛行は自由使用の範囲とされることが多い。ただし、河川敷内の公園・グラウンドなどは管理者が禁止している場合がある — 各河川事務所(例:多摩川は京浜河川事務所)
道路 道路の上空を飛行するだけであれば、道路使用許可は不要。看板設置や撮影で人が集まるなど、交通に影響する場合は許可が必要になり得る — 所轄警察署、道路管理者
寺社・文化財 管理者が敷地上空の飛行を禁止している場合がある なし 各寺社・施設の管理者
国立公園・国有林 公園や林野の管理者ごとに注意事項や届出が定められている場合がある — 環境省の各管理事務所、森林管理署

※各管理者が公開している情報(記事末尾の出典一覧)をもとに編集部が整理したものです。国の機関の資料は加工して作成しています。

5-2. 河川敷は「河川ごと」に確認する

河川敷のルールは、全国一律ではありません。たとえば関東地方整備局の渡良瀬川河川事務所は、占用地や民有地以外の河川敷での個人の趣味による飛行を、原則として自由使用の範囲内としています。一方、荒川下流の河川敷利用ルールでは、墜落事故による人身事故や火災の危険性が高いことを理由に、原則として飛ばさないこととしています。

荒川下流でも、公共性が高く飛行エリアの安全を確保できる場合には、一時使用届や飛行計画書などを提出したうえで例外的に飛行できるとされています。ただし、個人の趣味の空撮がこの例外に当たる可能性は低いと考えられます。(編集部見解)

5-3. 道路上空の扱い

経済産業省・国土交通省がまとめた資料は、道路の上空をドローンが飛行するということのみをもっては、現行制度上、道路使用許可を要しないと整理しています。インターネット上には「道路上空の飛行には警察署への届出が必要」とする記事も見られますが、公的資料の整理とは一致しません。

ただし、道路上の人や車両の上空を飛行する場合は、航空法上の「30m未満の飛行」に該当する可能性が高い点に注意が必要です。

6. 第5層:プライバシーと周辺への配慮

法令上の問題がなくても、撮影内容や飛行方法によっては、プライバシーの侵害や近隣とのトラブルにつながります。総務省のガイドラインは、撮影時に被撮影者の同意を得ることを前提としつつ、それが難しい場合は住宅地にカメラを向けない、プライバシー侵害の可能性がある映像にはぼかしを入れるといった配慮を求めています。

あわせて、次の点も現地で確認します。

  • 早朝・夜間の騒音が近隣の迷惑にならないか
  • 他の利用者(散歩、釣り、スポーツなど)の活動を妨げないか
  • 野鳥の営巣地など、野生生物に影響しないか

7. よくある誤解と実際

よくある誤解 実際 該当する層
100g未満のドローンなら、どこでも自由に飛ばせる 航空法の多くの規定は対象外だが、重要施設周辺、都立公園、荒川下流の河川敷などでは重量に関係なく禁止 第1・3・4層
河川敷ならどこでも自由に飛ばせる 河川ごとにルールが異なる。荒川下流では原則禁止。河川敷内の公園・グラウンドは管理者のルールに従う 第4層
道路の上を飛ぶには警察署への届出が必要 上空を飛行するだけなら、道路使用許可は不要と整理されている。ただし30m未満の飛行には注意 第2・4層
他人の土地の上空は、必ず所有者の許可が必要 常に必要とは限らない。ただし離着陸、長時間の滞空、飛行禁止の表示がある場合は別 第3層
航空法の許可を取れば、どこでも飛ばせる 航空法の許可は第2層だけの話。公園条例や土地の管理権、重要施設の規制は別に確認が必要 第1・3・4層
広い公園なら人に迷惑をかけないので問題ない 都立公園は広さに関係なく禁止。区立公園も多くの自治体で禁止または許可制 第4層

8. 東京で空撮を行うための現実的な選択肢

以下は、ここまでの規制を踏まえて編集部が整理した選択肢です。

A. 練習は屋内施設で行う

屋内は航空法の対象外とされており、天候にも左右されません。基本操作の習熟は、民間の屋内練習施設を利用するのが現実的です。利用条件は施設ごとに確認します。

B. 都外・非DIDの私有地で、所有者の許可を得る

多摩西部や近県の非DID地域で、土地所有者の許可を得た場所を使います。第1層の確認と、国立公園・国有林のルール確認は欠かせません。

C. 民間のドローンフィールドを利用する

管理者の許可がすでに整理された有料の飛行場を使う方法です。飛行可能な範囲、航空法上の扱い、保険加入の要否を事前に確認します。

D. 作品空撮は「計画型」で行う

都内の特定の景観を撮る場合は、航空法の許可・承認、土地管理者の許可、必要に応じて重要施設の同意と通報を揃えた計画型の撮影になります。思い立ってすぐ飛ばす運用は前提にしません。

結論

東京23区内で、個人が許可なく手軽に飛ばせる屋外の場所は、ほぼ存在しないと考えるのが現実的です。練習は屋内や郊外で行い、都内の作品空撮は手続きを揃えた計画型として準備する。この使い分けが、トラブルを避けながら空撮を続けるための基本方針になります。(編集部見解)

9. 飛行場所の判断チェックリスト

  • 第1層:地理院地図で、レッドゾーン・イエローゾーンにかからないことを確認した
  • 第1層:飛行予定日の直前に、警察庁の一時指定情報を確認した
  • 第2層:DID・空港周辺・150m以上の空域に該当するか確認し、必要な許可を取得した
  • 第2層:夜間・目視外・30m未満などの飛行方法に該当するか確認し、必要な承認を取得した
  • 第3層:離着陸場所の所有者・管理者から許可を得た
  • 第3層:飛行範囲に、飛行禁止の表示がある土地が含まれていないことを確認した
  • 第4層:公園・河川・寺社など、その場所固有のルールを管理者のサイトまたは問い合わせで確認した
  • 第5層:撮影範囲に住宅や人が映り込む場合の配慮(撮影角度、ぼかし処理)を決めた
  • 記録:確認日時、確認先、確認結果を記録した

10. 推奨アクション

STEP 1候補地を地図で一次選別する:地理院地図で重要施設の禁止エリアとDIDを重ねて表示し、候補地を絞り込む。
STEP 2候補地ごとに管理者を特定する:公園なら自治体、河川敷なら河川事務所、寺社なら各管理者というように、第4層の確認先を一覧化する。
STEP 3用途で場所を分ける:練習用(屋内・ドローンフィールド)と作品用(計画型)の場所を分けて管理する。
STEP 4確認結果を蓄積する:確認した場所ごとに、日付・確認先・結果を記録し、自分用の「飛行可否データベース」として再利用する。

まとめ

  • 飛行可否は、重要施設、航空法、土地の管理権、個別ルール、周辺への配慮の5層を順に確認して判断する。
  • 重量による除外があるのは実質的に航空法だけであり、100g未満の機体でも他の4層は適用される。
  • 東京では、都立公園と都の海上公園は重量にかかわらず禁止、荒川下流の河川敷も原則禁止とされている。
  • 道路上空の単なる飛行に道路使用許可は不要と整理されているが、航空法の30m規定には注意が必要。
  • 23区内での個人の空撮は、練習と作品撮影を分け、作品は計画型で準備するのが現実的。

出典・参考資料

一次情報(公的機関)

本記事の表と解説は、上記の公的機関の公開資料をもとに編集部が作成したものです。国の機関の資料は「公共データ利用規約(第1.0版)」に基づき加工して利用しています。東京都・練馬区の資料は、事実の要約とリンクの範囲で利用しています。

記事の独立性・編集方針

本記事は、警察庁、国土交通省、経済産業省、内閣官房、総務省、環境省、東京都、各区などの公的機関が公開する資料をもとに、個人の空撮実務の観点から独自に調査・編集したものです。特定のメーカー、販売店、ドローンスクール、飛行場運営者からの依頼や対価を受けて作成したものではなく、広告・アフィリエイトリンクは含みません。

「荒川下流の例外規定の適用可能性」「東京で空撮を行うための現実的な選択肢」「結論」は、公開情報に基づく編集部の分析・見解であり、公的機関の見解ではありません。公園や河川の利用ルールは管理者ごとに異なり、変更されることがあるため、実際の飛行前には各管理者に確認してください。制度やルールの変更を確認した場合は、確認日を更新したうえで内容を改訂します。

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