【2026年版】ドローン空撮の始め方 総合ガイド|機体選び・登録・ルール・操縦技術・撮影・編集まで

ドローン空撮の始め方 総合ガイド:飛ばすために必要な知識・準備・技術・撮影のすべて(2026年版)

ドローン空撮 実務ガイド #1 総合ガイド 情報確認日:2026年10月26日 出典の利用条件確認:2026年10月26日

「ドローンで、きれいな風景を空から撮りたい」。この目的は単純ですが、実現するには、ルールの知識、機体の準備と手続き、操縦技術、撮影と編集の技術という4つの領域をそろえる必要があります。どれか一つが欠けると、法令違反、事故、あるいは「飛ばせたけれど使える映像がない」という結果になります。

本記事は、これからドローン空撮を始める人と、数年前に学んだものの最新の制度に追いついていない人に向けて、2026年10月時点の制度に基づき、飛ばすまでに必要なことを順序立てて整理した総合ガイドです。

Note:本記事は2026年10月26日時点で確認した公的機関の公開情報に基づく解説であり、法的助言ではありません。ドローンに関する制度はここ数年で頻繁に改正されています。実際の飛行前には、国土交通省・警察庁などの最新情報を必ず確認してください。

本記事で得られる3つのポイント

  • 全体像
    機体選びから映像の完成まで、ドローン空撮に必要な知識・手続き・技術の全体像と進め方
  • 2026年の制度
    機体登録、リモートID、特定飛行の許可・承認、飛行計画の通報、飛行日誌など、飛ばす前に必須の手続き。数年前の知識から変わった点もまとめて確認できる
  • 技術と撮影
    国の基準に沿った操縦練習の目安、風景空撮の撮影設定、地上・水中・空の映像を一つの作品にまとめる編集の考え方

なぜ重要か

現在のドローンは、自動ホバリングや障害物検知の性能が高く、購入したその日でも「浮かせる」ことはできます。しかし、浮かせられることと、合法かつ安全に、作品として使える映像を撮れることの間には大きな差があります。2022年以降、機体登録の義務化、飛行日誌の作成義務、民間資格の扱いの変更、重要施設周辺の規制強化と、制度は段階的に厳しく、かつ精緻になりました。「なんとなく知っている」状態のまま飛ばすことが、最も大きなリスクです。

1. ドローン空撮の全体像:5つのステージ

ドローン空撮は、次の5つのステージで進めると、抜け漏れなく準備できます。

ステージ やること 本記事の該当章
1. 知る 機体の種類と、飛ばすためのルールの全体像を理解する 2章・4章・5章
2. 準備する 機体を選び、登録・リモートID・保険など飛行前の手続きを済ませる 2章・3章・9章
3. 練習する 屋内や許可された場所で、基本操作と緊急時の対応を身につける 6章
4. 計画して飛ばす 場所の確認、必要な許可・承認、飛行計画の通報を行い、当日は点検と記録を行う 4章・5章・11章
5. 撮って仕上げる 撮影設定とカメラワークを計画し、編集・カラーグレーディングで作品に仕上げる 7章・8章

2. 機体選び:重量で変わる「ルールの重さ」

2-1. 100gを境に法律上の扱いが変わる

航空法では、本体とバッテリーを合わせた重量が100g以上の機体を「無人航空機」として規制します。かつての基準は200gでしたが、2022年6月の登録制度の開始とともに100gに引き下げられました。

区分 100g未満 100g以上
航空法上の扱い 模型航空機 無人航空機
機体登録・リモートID 不要 必要
DID・夜間・目視外などの特定飛行のルール 適用されない 適用される
空港周辺・一定高度以上の飛行 許可等が必要(航空法第134条の3) 許可が必要
重要施設周辺の飛行禁止(小型無人機等飛行禁止法) 適用される 適用される
公園条例・土地管理者のルール 適用される 適用される
撮影性能の傾向 小型センサー、風に弱い 大型センサー、ログ撮影、耐風性

「100g未満なら規制なし」は誤解です。航空法の多くの規定が適用されないだけで、空港周辺や一定以上の高さの飛行、重要施設周辺の飛行禁止、公園や河川のルールは重量に関係なく適用されます。

2-2. 風景空撮を目的とした機体選びの観点

「きれいな風景を撮りたい」という目的であれば、映像品質と安全性の両面から、次の観点で選びます。

観点 重視する理由
センサーサイズ 朝夕の低照度や明暗差の大きい風景で、ノイズと階調に差が出る
10bitログ撮影 カラーグレーディングの自由度が高く、他のカメラの映像と色を合わせやすい
耐風性(機体重量) 海岸や山間部は風が強い。軽量機ほど流されやすく、映像も揺れやすい
障害物検知 操縦ミスや死角による衝突のリスクを下げる
携帯性 旅先や山・海への持ち出しやすさが、撮影機会の多さに直結する
リモートID 現行機は内蔵が一般的。中古機・旧型機は対応状況の確認が必須(3章)

2-3. 2026年の主な空撮機のクラス

代表的なメーカーであるDJIの2026年時点の主な空撮機を、クラスごとに整理します。価格や仕様は改定されることがあるため、購入前にメーカーの公式情報を確認してください。

クラス 主な機種 特徴 向いている人
フラッグシップ Mavic 4 Pro 複数カメラ、高い映像性能と耐風性 作品制作を本格的に行う人
中上位 Air 3S(離陸重量724g) 1インチ広角+中望遠カメラ 旅行と作品制作を両立したい人
軽量・高画質 Mini 5 Pro(約249.9g、個体差±4g) 1インチセンサーを搭載した軽量機 携帯性を最優先する人
初心者向け Lito X1/Lito 1 扱いやすさを重視したカメラドローン はじめての1台
360°・FPV Avata 360 8K 360°撮影、後編集で画角を決める 没入型の表現をしたい人
手のひらサイズ Neo 2 手のひら離着陸、追尾撮影 自撮り・Vlog用途

※重量はDJI公式サイトの製品仕様による(2026年10月26日確認)。Mini 5 Proは公式仕様で個体差が示されており、250gを超える個体もあり得ます。重量で機体を選ぶ場合は、購入する個体の実測値と最新の公式仕様を確認してください。

3. 飛ばす前に必須の手続き:機体登録とリモートID

3-1. 機体登録

100g以上の機体は、国土交通省への登録を受けなければ飛行させることができません。登録はオンラインで手続きでき、登録記号(JUから始まる記号)が通知されます。

  • 対象:屋外で飛行させる100g以上のすべての機体。複数所有している場合は機体ごとに登録が必要
  • 有効期間:3年。期限前に更新が必要
  • 手数料:申請方法によって異なる。制度開始時の発表では、1機目は900円〜2,400円(マイナンバーカード等によるオンライン申請が最も安価)。最新の金額は登録ポータルサイトで確認する
  • 表示:登録記号を機体に表示する(総重量25kg未満の機体は文字の高さ3mm以上)
  • 罰則:未登録の機体を飛行させた場合、1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金

3-2. リモートID

リモートIDは、機体の登録記号や位置情報を電波で発信する機能です。登録した機体には、原則としてリモートIDの搭載が必要です。

機体の状況 リモートIDの扱い
現行の機体(内蔵リモートID対応) 内蔵機能で対応
内蔵機能のない旧型機 外付けのリモートID機器を搭載する
事前登録期間(2021年12月20日〜2022年6月19日)に登録申請した機体 搭載は免除。登録を更新すれば、更新後も免除が継続する
事前登録した機体で、登録を更新しなかった場合 免除はなくなり、リモートIDの搭載義務の対象になる

旧型機・中古機を使う場合の注意:DJI JAPANは2022年の登録義務化の際、内蔵リモートID機能に対応する機種を公表しました。この一覧に含まれなかった機種(たとえばPhantom 4シリーズやMavic 2シリーズ)は、事前登録による免除がない限り、外付けのリモートID機器が必要です。手持ちの旧型機を再び使う場合は、登録の有効期限と免除の有無を、ドローン登録システムで最初に確認してください。

4. 航空法の基本ルール

4-1. どんな飛行でも必ず守るルール

次のルールは、許可・承認の有無や飛行場所にかかわらず、100g以上の無人航空機を飛ばすときに常に適用されます。

  • アルコールまたは薬物の影響下で飛行させない(違反は1年以下の拘禁刑または30万円以下の罰金)
  • 飛行前に、機体の状態や周囲の状況を確認する(飛行前確認)
  • 航空機や他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させる
  • 他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させない

4-2. 「特定飛行」とは何か

航空法は、リスクの高い空域と飛行方法を定めています。これらに該当する飛行を「特定飛行」と呼び、原則として国土交通大臣の許可・承認が必要です。

区分 内容 風景空撮で該当しやすい例
許可が必要な空域 空港等の周辺 空港に近い海岸や市街地
緊急用務空域 災害時の捜索・救助で指定される空域
地表または水面から150m以上 山頂付近から谷を見下ろす撮影
人口集中地区(DID)の上空 都市の街並み・夜景
承認が必要な飛行方法 夜間飛行(日没後〜日出前) 夜景、マジックアワー後半
目視外飛行(モニターだけを見て飛ばす場合を含む) 遠くの被写体への接近、機体を見失う距離
人・物件から30m未満の飛行 建物、車、他の観光客の近くでの撮影
催し場所の上空の飛行 祭り、花火大会、イベント
危険物の輸送 (空撮では通常該当しない)
物件の投下 (空撮では通常該当しない)

出典:「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html)を加工して作成(「風景空撮で該当しやすい例」は編集部による)

許可・承認が不要なのは、DIDの外、空港周辺ではない場所で、150m未満の高さを、日中に、目視の範囲内で、人や物件から30m以上離して飛ばす場合です。風景空撮では、この条件を満たす場所と時間帯を選ぶことが、もっとも手続きの少ない方法になります。なお、国土交通省のガイドライン(令和8年9月29日版)は、屋内として整理された空間等での飛行には、これらのルールが適用されないとしています。

4-3. 特定飛行を行う場合の手続き

手続き1:許可・承認の申請(DIPS 2.0)

オンラインの「ドローン情報基盤システム(DIPS 2.0)」から申請します。申請は飛行開始予定日の10開庁日前までが目安です。場所を特定しない申請では、最長1年間の期間で包括的に申請できます。

2025年3月の審査要領改正により、機体と操縦者が基準に適合していることを示す資料の添付は不要になり、申請者自身による確認結果の申告方式に変わりました。ただし、添付が不要になっただけで、適合を示す資料を作成・保管する義務は残っています。操縦者の基準には、飛ばす無人航空機の種類ごとに10時間以上の飛行経歴を有することなどが含まれます。

手続き2:飛行計画の通報

特定飛行を行う場合は、許可・承認の有無にかかわらず、飛行の日時・経路・高度などの飛行計画をDIPS 2.0で事前に通報する義務があります。通報せずに特定飛行を行った場合は30万円以下の罰金の対象です。特定飛行に当たらない飛行でも、通報が推奨されています。

手続き3:飛行日誌の作成

特定飛行を行う場合は、次の3種類の飛行日誌を備え、記載する義務があります。

  • 飛行記録(飛行した内容)
  • 日常点検記録(飛行前点検などの結果)
  • 点検整備記録(定期点検、整備・改造の内容)

手続き4:事故・重大インシデントの報告

人の負傷、物件の破損、航空機との接触またはそのおそれ、制御不能、飛行中の発火などが起きた場合は、国土交通大臣への報告が必要です。負傷者がいる場合は、直ちに飛行を中止し、救護、消防への連絡、警察への報告を行います。

4-4. 国家資格は必要か

2022年12月から、国家資格である「無人航空機操縦者技能証明(一等・二等)」が始まりました。趣味の空撮で、国家資格の取得は義務ではありません。資格の主な効果は次のとおりです。

状況 許可・承認の扱い
資格なし 特定飛行のたびに許可・承認を取得(包括申請も可)
二等資格のみ 許可・承認は引き続き必要。ただし資格の範囲内であれば、操縦者の知識・技能は確認済みとして扱われる
二等資格+第二種機体認証を受けた機体(総重量25kg未満) DID・夜間・目視外・30m未満の飛行は、立入管理措置などの安全確保措置を講じれば許可・承認が不要

許可・承認が不要になるのは、機体認証を受けた機体と資格を組み合わせた場合に限られます。一般向けの空撮機で第二種型式認証を取得した機種は限られており、資格だけでは手続きの省略効果は限定的です。(編集部見解)

また、2025年12月には、国土交通省のホームページに掲載された講習団体による民間資格を根拠とした申請の簡略化運用が終了しました。以前に民間資格を取得した人も、現在は申請上の優遇がない前提で手続きを考える必要があります。

趣味の範囲では、許可・承認を取得する方法で十分に対応できます。一方、体系的な知識の習得、将来の業務利用、依頼主への信頼性の提示を目的とするなら、国家資格には十分な価値があります。

5. 航空法以外に確認すべきルール

ルール 概要 重量による除外
小型無人機等飛行禁止法 重要施設(国会、皇居、防衛施設、空港、原子力事業所など)の周囲おおむね1,000mは飛行禁止。2026年7月14日から禁止範囲の拡大と直罰化 なし
土地の所有権・管理権 離着陸場所は所有者・管理者の許可が必要。飛行禁止の表示がある土地の上空は飛ばさない なし
公園・河川・寺社などのルール 都市公園は多くの自治体で禁止または許可制。河川敷は河川ごとにルールが異なる 多くの場合なし
国立公園・ダムなど 自然公園法上は飛行や離着陸に許可は不要とされるが、騒音や他の利用者への迷惑、動植物への影響に留意が必要。ダムは管理者が原則禁止としている例がある なし
電波法 国内の技術基準に適合した(技適マークのある)機体を使う。5.7GHz帯などを使う画像伝送システムは、無線局の免許と第三級陸上特殊無線技士以上の資格が必要 —
プライバシー 総務省のガイドラインは、住宅地にカメラを向けない、映り込みにぼかしを入れるなどの配慮を求めている —

重要施設周辺の規制は本連載の第2回、飛行場所の判断方法は第3回で、それぞれ詳しく解説しています。

6. 操縦技術:何を、どこまで練習すべきか

6-1. 国の基準を練習の到達目標にする

国土交通省の「航空局標準マニュアル」は、許可・承認を受けて飛行する操縦者に、次の基本操作が安定して行えることを求めています。趣味の空撮でも、これを屋外で飛ばし始める前の到達目標にすると、技術の水準を客観的に判断できます。

項目 基準
離着陸 操縦者から3m離れた位置で3mの高さまで離陸し、指定の範囲内に着陸する。5回連続で安定して行える
ホバリング 操縦者の目線の高さで、一定時間、半径1mの範囲内にとどまる
左右方向の移動 離陸地点から左右に20m離れた着陸地点へ移動して着陸する。5回連続で安定して行える
前後方向の移動 離陸地点から前後に20m離れた着陸地点へ移動して着陸する。5回連続で安定して行える
水平面内での飛行 一定の高さを維持したまま、指定された地点を順番に移動する。5回連続で安定して行える

出典:「航空局標準マニュアル②」(令和7年12月26日版)(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/common/001975920.pdf)を加工して作成

夜間飛行や目視外飛行を行う場合は、これらの操作が夜間・目視外でも安定して行えるよう、許可を受けた場所または屋内で練習することが求められています。

6-2. 練習の段階

STEP 1シミュレーター:送信機の操作に慣れる。機首の向きが変わったときの左右の逆転感覚をつかむ。
STEP 2屋内練習施設:航空法の対象外となる屋内で、6-1の基本操作を反復する。GPSが効かない環境は、手動での姿勢制御の練習になる。
STEP 3許可の不要な屋外:DID外の広い場所で、管理者の許可を得て練習する。風・日差し・電波状況など屋外特有の条件に慣れる。
STEP 4撮影を想定した練習:一定速度の直進、上昇しながらの後退、被写体の周りを回る飛行など、カメラワークを練習する。

6-3. 自動機能に頼りすぎないための確認事項

現在の機体は自動機能が充実していますが、トラブル時に機体を安全に戻せるかどうかは、操縦者の知識と技術で決まります。

状況 事前に理解・設定しておくこと
GPS信号の低下 機体が位置を保持できず流される状態を想定し、手動で姿勢を制御できるようにしておく
電波の途絶 自動帰還(RTH)の高度を、周囲の最も高い障害物より高く設定しておく
バッテリー残量 帰還に必要な残量を見込み、余裕をもって帰還を開始する。寒冷地では消耗が早い
強風 上空は地上より風が強いことが多い。メーカーが示す耐風性能を把握し、無理をしない
磁気干渉 鉄骨構造物や車の近くでは方位の誤差が生じやすい。離陸場所を選ぶ

7. 撮影技術:風景を「作品」にするための設定とカメラワーク

7-1. 時間帯と光

風景空撮の印象は、機材よりも光で決まります。日の出・日の入り前後の斜光は、地形の起伏と色の階調を引き出します。ただし、日没後は「夜間飛行」に該当するため、承認なしで撮影できるのは日没までです。撮影計画は、日没時刻から逆算して立てます。

7-2. 動画の基本設定

項目 考え方
フレームレート 作品全体の基準(24p/30p/60pなど)を最初に決め、他のカメラとそろえる。スロー表現の素材は高フレームレートで撮る
シャッタースピード フレームレートの約2倍の分母(例:30pなら1/60秒)を基準にすると、自然な動きのブレになる
NDフィルター 日中に上記のシャッタースピードを保つために使う。明るさに応じて濃度を選ぶ
ガンマ(色の記録方式) 編集で色を整える前提ならログ(10bit)。編集をしないなら標準プロファイル
ホワイトバランス オートにせず固定する。カットごとに色が揺れるのを防ぐ
露出 ヒストグラムを見て、空の白飛びを避ける

7-3. 基本のカメラワーク

前進(ドリーイン)

被写体へゆっくり近づき、視線を導く。最も基本で使いやすい動き。

リビール

手前の障害物や地形の陰から、景色を徐々に見せる。導入カットに効果的。

オービット

被写体を中心に円を描いて回る。立体感と存在感を表現できる。

トップダウン

真上から見下ろす。海岸線、田畑、道路などの模様を図形として見せる。

上昇+チルトダウン

上昇しながらカメラを下に向け、被写体を中心に保つ。場所の広がりを示す。

一定速度の維持

どの動きでも、速度と方向を途中で変えないことが「上手く見える」最大の要素。

8. 陸・海・空の映像を一つの作品にまとめる

ドローンの映像は、地上のカメラや水中・水辺のアクションカメラの映像と組み合わせることで、作品としての厚みが増します。空からの俯瞰、地上の目線、水の中の世界を一本の映像にまとめる場合、撮影前の段階で仕様をそろえておくことが完成度を左右します。

8-1. 撮影前にそろえる項目

項目 そろえる理由
解像度とフレームレート 混在させると、変換による画質低下や動きの違和感が生じる
色の記録方式(ログの種類) 機材ごとにログの規格が異なる(例:ミラーレスカメラのF-Log2、DJIのD-Log M、アクションカメラのログ)。各規格を把握し、編集時に正しく変換する
ホワイトバランスの考え方 同じ場面を撮るカットは、色温度の基準をそろえる
音の収録計画 ドローンには実用的な音声がない。現場の環境音は別のレコーダーで録り、編集で合わせる

8-2. 編集での統合(DaVinci Resolveの場合)

DaVinci Resolveでは、カラーマネジメントを使い、各カメラのログをいったん共通の広い色空間(DaVinci Wide Gamut など)に変換したうえでグレーディングを行うと、異なる機材の映像を一貫したトーンにまとめやすくなります。具体的な手順は、本連載の第4回で解説する予定です。

9. 保険と機体の補償

万一の事故で第三者にけがをさせたり、物を壊したりした場合に備え、第三者への賠償責任をカバーする保険への加入を強く推奨します。メーカーの機体補償サービスは主に自分の機体の修理・交換のためのもので、他人への賠償とは別物です。両者の違いを理解したうえで、必要な補償をそろえてください。

10. 数年前に学んだ人へ:主な制度変更の年表

2020年前後にドローンを学んだ人や、しばらく飛ばしていなかった人は、次の変更点を確認してください。

時期 変更内容 影響
2022年6月 機体登録の義務化、規制対象を200g以上から100g以上へ拡大、リモートIDの搭載義務 未登録の機体は飛行不可
2022年12月 国家資格(一等・二等)と機体認証の制度開始。特定飛行での飛行計画の通報・飛行日誌の作成、事故・重大インシデントの報告を義務化 特定飛行の運用手順が大きく変わった
2025年3月 許可・承認申請の審査要領を改正。資料添付から自己確認の申告方式へ 申請は簡素化。資料の作成・保管義務は継続
2025年12月 民間資格を根拠とする申請簡略化の運用を終了 民間資格の申請上の優遇はなくなった
2026年7月1日 DIDのうち工業専用地域を許可対象区域から除外 工業地帯の一部で許可が不要に
2026年7月14日 重要施設周辺の飛行禁止範囲を約300mから約1,000mへ拡大し、直罰化 禁止エリアが大幅に拡大

11. 総合チェックリスト

準備(購入後〜初飛行前)

  • 機体を登録し、登録記号を表示した(100g以上)
  • リモートIDの搭載・設定、または免除の条件を確認した
  • 第三者賠償責任保険に加入した
  • 屋内などで基本操作を、国の基準を目安に練習した
  • 自動帰還の高度、バッテリー警告などの設定を確認した

計画(飛行の前日まで)

  • 重要施設周辺の禁止エリアにかからないことを地図で確認した
  • 特定飛行に該当するかを確認し、必要な許可・承認を取得した
  • 離着陸場所と飛行範囲の管理者のルールを確認し、必要な許可を得た
  • 天気予報(特に上空の風)と日没時刻を確認した
  • 特定飛行の場合、飛行計画を通報した

当日

  • 飛行前点検(機体、プロペラ、バッテリー、送信機、周囲の状況)を行った
  • 第三者や物件との距離を確保できることを現地で確認した
  • 飲酒していない、体調に問題がない

飛行後

  • 特定飛行の場合、飛行日誌に記録した
  • 撮影データをバックアップした
  • 公開前に、映り込んだ人や住宅のプライバシーに配慮した

12. 推奨アクション:始めるためのロードマップ

STEP 1ルールの全体像を把握する:本記事の4章・5章を読み、国土交通省の「飛行ルール」のページで最新の内容を確認する。
STEP 2目的に合った機体を選ぶ:撮りたい風景と持ち運び方から、機体のクラスを決める。旧型機を使う場合は、登録とリモートIDの状況を最初に確認する。
STEP 3登録と保険を済ませる:機体登録、登録記号の表示、リモートID、保険を飛行前に完了させる。
STEP 4屋内で基本操作を身につける:6章の基準を到達目標に、10時間以上の飛行経歴を積む。
STEP 5許可の不要な場所と時間で撮影を始める:DID外・日中・目視内・30m以上の距離を守れる場所から始め、経験を積んだうえで、必要に応じて許可・承認を取得して撮影範囲を広げる。

まとめ

  • ドローン空撮には、ルールの知識、手続き、操縦技術、撮影・編集の技術の4つが必要。
  • 100g以上の機体は、登録・登録記号の表示・リモートIDが飛行の前提。旧型機はリモートIDの扱いを必ず確認する。
  • DID・夜間・目視外・30m未満などの特定飛行には、許可・承認、飛行計画の通報、飛行日誌の記録が必要。
  • 国家資格は趣味の空撮では必須ではない。民間資格による申請の優遇は2025年12月に終了した。
  • 100g未満の機体でも、重要施設周辺の規制、公園や河川のルール、土地の管理権は適用される。
  • 操縦は国の基準を目標に屋内で練習し、撮影は光・設定・一定速度のカメラワークで質を高める。

出典・参考資料

一次情報(公的機関)

本記事の表と解説は、上記の国の機関の公開資料をもとに編集部が加工して作成したものです。国の機関の資料は「公共データ利用規約(第1.0版)」に基づいて利用しています。

メーカー公式情報

  • DJI公式サイト 製品仕様(DJI Air 3S、DJI Mini 5 Pro)(2026年10月26日確認)
    https://www.dji.com/jp(各製品ページの「仕様」を参照)

参考(販売店・専門メディア)

記事の独立性・編集方針

本記事は、国土交通省、警察庁、総務省、環境省、沖縄県などの公的機関が公開する一次情報をもとに、個人の空撮と映像制作の観点から独自に調査・編集した総合ガイドです。特定のメーカー、販売店、ドローンスクール、保険会社からの依頼や対価を受けて作成したものではなく、広告・アフィリエイトリンクは含みません。機種名は市場の状況を示すための例示であり、特定製品の推奨ではありません。

「国家資格の手続き省略効果の評価」「機体選びの観点」「撮影設定・カメラワーク」「陸・海・空の映像統合」の各章は、公開情報と映像制作の実務に基づく編集部の分析・見解であり、公的機関の見解ではありません。制度の変更を確認した場合は、確認日を更新したうえで内容を改訂します。

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DJIおよび本記事に記載したDJI製品の名称は、SZ DJI Technology Co., Ltd.またはその関連会社の商標です。本記事はDJIの承認・後援を受けたものではありません。