【2026年版】改正ドローン規制法の要点と飛行前確認手順|飛行禁止エリア1km拡大・直罰化に個人空撮はどう備えるか

改正ドローン規制法(2026年7月施行)の要点と、個人空撮のための飛行前確認手順

ドローン空撮 実務ガイド #2 情報確認日:2026年10月22日 出典の利用条件確認:2026年10月26日

2026年7月14日、重要施設の周辺上空でのドローン飛行を規制する「小型無人機等飛行禁止法」の改正法が施行されました。飛行禁止となる周辺エリア(いわゆるイエローゾーン)は、施設の周囲おおむね300mからおおむね1,000mへ拡大し、このエリアでの無断飛行には警察官の命令を待たずに罰則が科される「直罰」が新設されています。

本記事では、警察庁・防衛省などの公式情報をもとに、改正の内容と規制の仕組みを整理したうえで、趣味や作品制作で空撮を行う個人が「飛ばす前に何を確認すればよいか」を手順とチェックリストに落とし込みます。

Note:本記事は2026年10月22日時点で確認した公的機関の公開情報に基づく解説であり、法的助言ではありません。対象施設の指定は随時追加・変更されるため、実際の飛行前には必ず各機関の最新情報を確認してください。

本記事で得られる3つのポイント

  • 何が変わったか
    1,000mへの拡大、イエローゾーンの直罰化、対象施設の追加という3つの改正点
  • どこまで対象か
    航空法と異なり重量による除外がなく、100g未満の機体も対象となる仕組み
  • 飛ばす前に何をするか
    地理院地図による範囲確認から、例外に該当する場合の48時間前通報までの確認手順

なぜ重要か

改正前は、イエローゾーンでの飛行そのものには直接の罰則がなく、警察官等の退去命令などに従わなかった場合に処罰される構造でした。改正後は、例外に該当しない限り飛行させた時点で違反となります。加えて、禁止範囲は面積比でおよそ10倍以上に広がりました。「以前は範囲外だった場所」が新たに禁止エリアに入っている可能性があり、過去の経験や記憶に頼った判断が通用しなくなっています。

1. 改正の要点:何が変わったのか

1-1. 成立から施行までの経緯

改正法(令和8年法律第47号)は、2026年6月17日に国会で成立し、6月24日に公布、7月14日に施行されました。施行にあわせ、改正前から対象とされていた485の施設について、改正後の法律に基づく指定の告示が7月3日に公布されています。

1-2. 改正前後の比較

項目 改正前 改正後(2026年7月14日〜)
周辺地域(イエローゾーン)の範囲 施設の周囲おおむね300m 施設の周囲おおむね1,000m
イエローゾーン飛行への罰則 直接の罰則なし(警察官等の命令違反は処罰対象) 6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金(直罰)
レッドゾーン飛行・命令違反への罰則 罰則あり 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
対象施設の種類 国の重要施設、外国公館等、防衛関係施設、空港、原子力事業所など 上記に加え、対象特別要人所在施設と国際会議の準備・運営のための会議場施設等を追加

出典:「小型無人機等飛行禁止法関係」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html)を加工して作成

1-3. 新たに追加された対象施設の注意点

追加された「対象特別要人所在施設」と、期間を定めて指定される外国公館等は、一時的に指定される性質を持ちます。警察庁は、指定された場合に名称と指定期間を公式サイトに掲載するとしています。常設の施設と異なり、「先月は飛ばせた場所が、今週は禁止区域に入っている」ことが起こり得るため、飛行日の直前に確認する運用が必要です。

2. 規制の仕組み:レッドゾーンとイエローゾーン

2-1. 2種類の飛行禁止エリア

レッドゾーン

対象施設の敷地または区域の上空。原則として飛行禁止。

イエローゾーン

レッドゾーンの周囲おおむね1,000mの上空。原則として飛行禁止。改正により範囲拡大と直罰化。

2-2. 対象施設の種類

区分 主な対象 個人空撮で遭遇しやすい場面
国の重要な施設等 国会議事堂、首相官邸、最高裁判所、皇居等、危機管理行政機関の庁舎、政党事務所、特別要人所在施設 東京都心の街並み・夜景の撮影
対象外国公館等 大使館等、外国要人の所在施設、国際会議の会議場施設等 都心部、国際会議の開催地周辺
対象防衛関係施設 自衛隊施設、在日米軍施設 地方・郊外の海岸線、山間部の風景撮影
対象空港 指定された空港 地方旅行先での空撮
対象原子力事業所 原子力発電所など 海沿いの風景撮影

東京都心は特に注意:警察庁は、東京都では多くの場所で飛行が禁止されていると明示しています。重要施設が集中する都心部では、拡大後のイエローゾーン同士が重なり合い、広い範囲が一体の禁止エリアになっています。

2-3. 100g未満の機体も対象になる

個人の空撮で最も誤解されやすい点です。ドローンを規制する主な法律は、国土交通省所管の「航空法」と、警察庁所管の「小型無人機等飛行禁止法」の2つです。両者は対象と目的が異なります。

比較項目 航空法 小型無人機等飛行禁止法
所管 国土交通省 警察庁(国家公安委員会)
主な目的 航空の安全、地上の人・物件の安全 重要施設の安全確保
規制の着眼点 空域(DID、空港周辺、150m以上など)と飛行方法(夜間、目視外など) 場所(対象施設とその周辺)
重量による対象範囲 100g以上の「無人航空機」 重量による除外規定なし(100g未満のトイドローンも対象)
対象機器の範囲 無人航空機 小型無人機(ドローン、ラジコン機等)に加え、気球・ハンググライダー・パラグライダー等による人の飛行も対象

「100g未満なので航空法の規制対象外」という判断は、航空法の多くの規定については正しくても、小型無人機等飛行禁止法には当てはまりません。100g未満の小型機を旅行に持参する場合でも、このエリア確認は省略できません。

3. 飛行禁止の例外と通報手続

3-1. 例外となる3つのケース

次のいずれかに該当する場合に限り、飛行禁止の規定は適用されません。

  1. 対象施設の管理者、またはその同意を得た者による周辺地域上空の飛行
  2. 土地の所有者等、またはその同意を得た者による、その土地上空の飛行
  3. 国または地方公共団体の業務を実施するための周辺地域上空の飛行

個人の空撮で現実的に関係するのは、主に2番目です。たとえばイエローゾーン内にある私有地で、土地所有者の同意を得てその土地の上空だけを飛ばす場合が該当します。ただし、防衛関係施設と空港のレッドゾーン上空は、1番目(施設管理者の同意)のみが例外となります。

3-2. 例外に該当しても「48時間前の通報」が必要

例外に該当する場合でも、届け出なしに飛ばしてよいわけではありません。主な手続は次のとおりです。

STEP 1通報期限:飛行開始の48時間前までに通報する。
STEP 2通報先:対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して、都道府県公安委員会へ通報する。警察署の窓口のほか、e-Gov電子申請でオンライン通報も可能。
STEP 3添付書類:飛行区域を示す地図、同意を証明する書面の写し、機器の写真(航空法の登録記号を表示している機体は写真不要)。
STEP 4当日の対応:オンライン通報の場合は到達番号または受付番号を控え、警察官から求められたら提示する。

3-3. 施設の種類によって追加される通報先

ケース 都道府県公安委員会に加えて必要な通報先
皇居・赤坂御用地の周辺地域 皇宮警察本部長(管轄警察署経由)
海域を含む周辺地域 管区海上保安本部長
防衛関係施設・空港の周辺地域 当該施設の管理者
周辺地域が複数の都道府県にまたがる場合 関係するすべての都道府県公安委員会

出典:「小型無人機等飛行禁止法に基づく通報手続の概要」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/tsuhou.html)を加工して作成(3-2・3-3)

4. 個人空撮で影響が出やすいケース

以下は公式情報に基づく規制内容から、個人の空撮で注意が必要と考えられる場面を編集部が整理したものです。

ケース 起こり得ること 対策
以前から飛ばしていた地方の撮影地 300m時代は範囲外だった場所が、拡大した約700m分の帯に入っている 過去に飛ばした場所も含め、改正後の地図で再確認する
海岸線・港の風景撮影 自衛隊施設、空港、原子力事業所が近くにあり、DID外でも禁止エリアに該当する DID外であっても禁止エリアの確認を省略しない
旅行先での空撮 土地勘がなく、近隣の対象施設に気づかない 旅行計画の段階で撮影候補地を地図で確認する
東京都心の夜景・街並み 広範囲が禁止エリアで、航空法上もDID・夜間飛行に該当する 都心での個人空撮は原則として「飛ばせない前提」で計画する
100g未満のトイドローン 航空法の対象外と誤解し、禁止エリアで飛ばしてしまう 重量に関係なく本法の対象であることを前提にする
国際会議・要人訪問の時期 一時指定により、普段は問題のない場所が期間限定で禁止になる 飛行日の直前に警察庁の一時指定情報を確認する

5. 飛行前の確認手順(5ステップ)

小型無人機等飛行禁止法だけを確認しても、飛行の可否は決まりません。航空法、土地の管理権、自治体のルールを含め、次の順序で確認すると漏れを防げます。

Step 1:地理院地図で禁止エリアを確認する

国土地理院の「地理院地図」では、本法の対象施設周辺地域(レッドゾーンとイエローゾーン)を地図上に表示できます。さらに、地図メニューの「その他」から「他機関の情報」を選ぶと、人口集中地区(DID)や航空法の空域情報を重ねて表示できます。本法の禁止エリアと航空法の規制空域を1枚の地図で同時に確認するのが、最も効率的な第一歩です。

Step 2:一時指定の有無を確認する

警察庁の「小型無人機等飛行禁止法に関する警察からのお知らせ」で、特別要人所在施設などの一時指定が出ていないかを確認します。対象外国公館等の一時指定は外務省の公式サイトで確認します。飛行予定日の直前に確認するのが原則です。

Step 3:航空法上の手続の要否を確認する

100g以上の機体であれば、機体登録とリモートIDが前提です(2021年12月20日〜2022年6月19日の事前登録期間に登録申請し、その後も登録を更新している機体は、リモートIDの搭載が免除されます)。そのうえで、飛行場所がDID・空港周辺・150m以上などに該当しないか、夜間・目視外・人や物件から30m未満などの飛行方法に該当しないかを確認し、該当する場合は国土交通省の許可・承認を取得します。なお、2026年7月1日からは、DIDのうち都市計画法上の「工業専用地域」が航空法上の許可対象区域から除外されています。

Step 4:土地・施設の管理者とルールを確認する

公園、河川敷、寺社、観光地などには、それぞれ管理者と利用ルールがあります。法律上は問題がなくても、管理者が飛行を禁止している場所は少なくありません。離着陸場所と飛行範囲の両方について、管理者の許可の要否を確認します。

Step 5:例外に該当する場合は同意取得と48時間前通報を行う

禁止エリア内で、土地所有者の同意などにより例外として飛行する場合は、同意を書面で得たうえで、飛行開始の48時間前までに通報します。同意書面の写しと通報の受付番号は、当日も携行します。

飛行前チェックリスト

  • 地理院地図で、飛行範囲がレッドゾーン・イエローゾーンにかかっていないことを確認した
  • 同じ地図にDID・空港周辺などの空域情報を重ねて確認した
  • 飛行予定日の直前に、警察庁(必要に応じて外務省)の一時指定情報を確認した
  • 100g以上の機体について、機体登録・登録記号の表示・リモートIDを確認した
  • 航空法の特定飛行に該当する場合、許可・承認を取得した
  • 離着陸場所と飛行範囲について、土地・施設管理者のルールを確認した
  • 例外に該当する場合、同意書面を取得し、48時間前までに通報した
  • 同意書面の写しと通報の受付番号(到達番号)を携行している
  • 確認した日時と参照した情報源を記録した

6. 実務ポイント

メーカーアプリの表示だけに頼らない

機体メーカーのアプリが表示する飛行制限エリアは、法令上の禁止エリアと一致する保証がありません。判断の根拠は、地理院地図や警察庁など公的機関の情報に置くべきです。(編集部見解)

確認作業を記録として残す

確認日時、参照した地図、確認結果をスクリーンショットやメモで残しておくと、現場で説明を求められた際や、後日同じ場所で撮影する際に役立ちます。

「過去に飛ばせた」は根拠にならない

範囲の拡大と一時指定の仕組みにより、同じ場所でも時期によって可否が変わります。撮影のたびに確認する前提で計画します。

撮影計画の初期段階で確認する

ロケハンや旅行計画の段階で禁止エリアを確認しておけば、現地で撮影を断念する事態を避けられます。48時間前の通報期限も考慮が必要です。

7. 推奨アクション

STEP 1今すぐ:普段の撮影地や撮影予定地を、改正後の地理院地図で一度確認する。
STEP 2運用の見直し:上記の飛行前チェックリストを、自分の撮影ワークフローの定型手順として組み込む。
STEP 3情報源の整理:地理院地図、警察庁の「お知らせ」ページ、国土交通省の飛行ルールのページをブックマークし、飛行前に参照する習慣をつける。
STEP 4100g未満機の利用者:航空法の対象外であっても本法の対象となる前提で、同じ確認手順を適用する。

まとめ

  • 2026年7月14日の改正により、重要施設周辺の飛行禁止エリアはおおむね1,000mに拡大し、イエローゾーンでの無断飛行は直罰の対象になった。
  • 小型無人機等飛行禁止法には重量による除外がなく、100g未満の機体も対象となる。
  • 土地所有者の同意などで例外に該当する場合でも、飛行開始の48時間前までの通報が必要。
  • 一時指定の仕組みがあるため、飛行日の直前の確認が欠かせない。
  • 飛行の可否は、本法・航空法・管理者ルールの3層を順に確認して判断する。

出典・参考資料

一次情報(公的機関)

本記事の表と解説は、上記の国の機関の公開資料をもとに編集部が加工して作成したものです。国の機関の資料は「公共データ利用規約(第1.0版)」に基づいて利用しています。法令本文は著作権法第13条により権利の目的とならない著作物です。

参考(報道・専門メディア)

記事の独立性・編集方針

本記事は、警察庁、防衛省、国土交通省、国土地理院などの公的機関が公開する一次情報をもとに、個人の空撮実務の観点から独自に調査・編集したものです。特定のメーカー、販売店、ドローンスクール、関係機関からの依頼や対価を受けて作成したものではなく、広告・アフィリエイトリンクは含みません。

「個人空撮で影響が出やすいケース」「実務ポイント」の一部は、公開情報に基づく編集部の分析・見解であり、公的機関の見解ではありません。法令の適用に関する個別の判断は、管轄の警察署や関係機関に確認してください。制度変更があった場合は、確認日を更新したうえで内容を改訂します。

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