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ITサービスデスクが扱う問い合わせや障害の中には、社内だけで解決が難しく、外部のベンダーサポートやメーカーサポートを利用しなければならないケースが少なくありません。たとえばソフトウェアの不具合やハードウェア障害、クラウドサービスのトラブルなどは、専門知識や契約上のサポート窓口を介さなければ解決できない場合も多いでしょう。
しかし、この「ベンダーサポートとの連携」がうまくいかないと、対応に時間がかかりすぎたり、問い合わせのたらい回しが発生したりして、ユーザーが不満を抱く結果になりがちです。本記事では、ベンダーサポートを活用する際に押さえておくべきポイントや、契約内容・連絡ルートの最適化方法を解説します。外部パートナーとの協力体制を整えれば、サービスデスク全体の対応品質とスピードを向上させることが可能です。
システムやアプリケーションが多様化・高度化する中、社内スタッフがすべての製品に精通するのは現実的ではありません。ベンダーサポートを活用すれば、製品開発元や専門チームのナレッジや技術力を借りられるため、複雑な問題でもスムーズに解決策を探せます。
製品やクラウドサービスによっては、ベンダーが提供するSLA(稼働率保証やサポート対応時間など)が設定されています。これを上手に活用すれば、社内のSLAと組み合わせてユーザーに対する対応品質を保つことができます。万一の障害時に、ベンダー側から迅速な支援を受けられるかどうかは契約内容に大きく左右されます。
サービスデスクが一次窓口となり、問題の切り分けを行ったうえで「これはベンダー対応が必要だ」と判断した場合、速やかにエスカレーションするルートが確立されていれば、ユーザーの待ち時間を最小限にできます。適切なタイミングで適切な先に連絡できないと、たらい回しや二度手間が増えてしまうでしょう。
ベンダーとの契約には、「どのレベルの問い合わせまで対応してくれるのか」「どの時間帯でサポートを受けられるのか」などが定義されているはずです。たとえば24時間365日のサポートが必要なのか、平日9時〜18時だけで足りるのかなど、サービスデスク側の要件と合致しているかを定期的にチェックしましょう。また、重大障害時に優先度を上げて対応してもらうためのプランや追加費用も検討事項です。
ベンダーサポートの連絡先が複数存在する場合、「どの種類の問い合わせはどこへ」「緊急時はどこへ連絡すべきか」などを整理しておく必要があります。特に海外ベンダーの場合、時差や言語の問題も考慮したルート設計が求められます。契約書だけに書いてあっても、実際の運用チームがそれを把握していないと意味がありません。手順書や連絡網を明確に整備し、スタッフに周知することが重要です。
ベンダーと結ぶサポート契約には、「問い合わせから○時間以内に応答を行う」「障害発生から○時間以内に原因調査を開始する」といったSLAが設定される場合があります。サービスデスクがユーザーに約束するSLAを満たすためには、ベンダーのSLAがそれ以上に十分な水準であることが理想です。もしベンダーのSLAが弱いと、社内SLAを達成できないリスクが高まります。
サービスデスクに問い合わせが来た段階で、まずは社内側で初期調査を行い、インシデント管理ツールにチケットを登録します。問題の切り分けを行った結果、「自社で対応できない」「ベンダーに聞かなければ分からない」という判断になったら、チケットに状況を整理してベンダーにエスカレーションします。この際、発生した事象やエラーメッセージ、再現手順などを明確に伝えることが大切です。
ベンダーが提供するサポート窓口に、電話・メール・専用ポータルなどで問い合わせを行いますが、どの手段が最速かはベンダーごとに異なります。緊急度が高い場合は電話で直接話すほうが良いか、専用チケットシステムを使わないとスピード感が落ちるかなど、ベンダーの運用に合わせて最適な連絡手段を選びましょう。連絡時にはチケット番号や不具合の詳細を正確に伝え、一度のやりとりで最大限の情報を提供するのがポイントです。
ベンダーが調査を進める間、サービスデスクはユーザーへの連絡を滞らせないよう気を付けます。なかなか進捗が得られない場合は、定期的にベンダーへ状況を確認するプロセス(エスカレーションの二段階目など)を用意しておくと安心です。ユーザーには「ベンダーに問い合わせ中であり、○時ごろに再度連絡します」など、こまめにアップデートを行いましょう。
ベンダーが提示した解決策や回避策を、その場限りで終わらせるのは非常にもったいないです。同じ問題が再発したときにスムーズに対応できるよう、FAQやナレッジベースにまとめておきましょう。サポート契約の範囲内で許される限り、ベンダー提供のドキュメントやトラブルシュート情報を要約して社内共有するのが望ましいです。
大型ベンダーや長期契約のケースでは、定期的にレビュー会を開催し、直近の問い合わせ事例や障害対応について振り返りを行うと良いでしょう。問題管理の観点から、再発を防ぐための対策や、お互いのコミュニケーション改善策を話し合う機会になります。このような仕組みがあれば、ベンダーとサービスデスクが対等なパートナーとして協力関係を深められます。
すべてをベンダーに任せすぎると、社内に知見やスキルがまったく蓄積されないリスクがあります。緊急時にベンダーが捕まらない場合、完全に対応不能になる可能性も。一方で、自社で抱え込むと負担が増えすぎるケースもあります。内製化できる部分とベンダー依存にする部分を上手に分け、長期的に見たコストとリスクを考慮することが大切です。
「問い合わせ先はA社の場合はメール、B社の場合は電話」「平日の18時以降は緊急窓口のみ」など、ベンダーごとに異なる連絡ルールを整理し、サービスデスク内で周知する必要があります。連絡網を一覧にしてわかりやすい場所に掲載する、チケット管理システムでベンダーごとの問い合わせテンプレートを用意するなどの工夫で、スタッフの混乱を防ぎやすくなります。
ベンダーの対応が遅かったり、回答が不十分だったりした場合、クレームや再度のエスカレーションが必要になることがあります。こうしたシチュエーションを想定して、「担当者レベルで解決しなかったら管理職や営業窓口に相談する」「正当な理由があれば契約内容の見直しや補償を求める」といった二次エスカレーションフローを用意しておくと、最悪の事態を防げます。
年に一度などのタイミングで、ベンダーとのサポート契約が期待通りのパフォーマンスを発揮しているかを振り返りましょう。コストに見合ったメリットを得られているか、他社ベンダーへの切り替えやサポートプランの変更を検討すべきか、冷静に判断することが重要です。特にライセンス料やアップグレード費用が大きい場合、別の製品への移行や内製化が長期的にお得な場合もあるでしょう。
ベンダーサポートを上手に活用することで、ITサービスデスクは自社にない専門知識やリソースを補完し、ユーザーへの対応品質を向上させることができます。しかし、その効果を最大化するには以下のポイントが重要です。
次回の記事では、「セキュリティインシデント対応:初動が肝心!チェックリストの作り方」を取り上げます。ベンダーとの連携が必要になる場面も多いセキュリティ事故においては、初動時の対応ミスが大きな被害拡大につながります。ぜひ続けてご覧ください。
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ITサービスデスクの成功は、しばしば「そこに集う人材の意欲とスキル」に左右されます。高度なIT知識が必要とされる場面もあれば、ユーザーへの真摯な対応やコミュニケーション力が問われる場面も多く、スタッフのやる気と能力が直接サービス品質に結びつくのです。しかし、日々の問い合わせ対応に追われる業務の中で、モチベーションを維持するのは容易ではありません。
そこで重要になってくるのが「評価制度(パフォーマンス評価)」です。スタッフの努力や成果を正しく評価し、報酬やキャリアに反映させることで、長期的なやる気を引き出せる可能性があります。本記事では、ITサービスデスクの特性に合わせた評価制度の設計ポイントや、導入時の注意点を解説します。評価制度がしっかり機能すれば、スタッフ個人の成長と組織のサービスレベル向上を同時に実現しやすくなるでしょう。
優秀なスタッフを確保・育成するには、適切な報酬やキャリアパスが整備されている必要があります。評価制度が不透明だと、どんなに頑張っても報われないという気持ちが募り、離職率が高まる恐れがあります。逆に、明確な評価基準があれば、自分がどんなスキルや成果を積めばよいのかが分かり、成長のモチベーションを保ちやすくなります。
ITサービスデスクの業務は、問い合わせ対応やインシデント管理、ユーザーサポートなどの“見えにくい”成果が多いのが特徴です。評価制度を通じて「ユーザー満足度を上げること」「問い合わせの一次解決率を高めること」などをスタッフの目標に設定し、それを達成したら正当に評価する仕組みを作れば、自ずとサービス品質が高まっていく効果が期待できます。
個人的な好みや上司の主観だけで評価が決まると、チーム内に不満や対立が生まれやすくなります。公正な評価軸があれば、スタッフ同士が切磋琢磨しながらも互いを尊重し、組織全体で協力し合える空気が醸成されるでしょう。
ITサービスデスクにおける定量指標としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの数値は客観的に把握しやすいため、評価制度に組み込みやすいメリットがあります。ただし、数字のみでスタッフの働きをすべて測ることは難しいため、後述の定性評価と組み合わせることが重要です。
定量指標に表れにくい面も評価することで、スタッフの総合的な貢献度を判断しやすくなります。例えば:
これらは、上司やリーダーによる観察・スタッフ本人の自己評価・同僚からの360度評価などを組み合わせる形で測定します。
まずは年度や半期などの評価期間ごとに、個々のスタッフと面談を行い、定量目標・定性目標を合意形成するステップが大切です。例えば「今期は一次解決率を70%以上に引き上げる」「新しいナレッジベースの記事を月3本投稿する」など、具体的な数字や行動目標を設定します。
評価期間の途中で一度は面談を行い、進捗を確認しながら軌道修正する場を設けると、スタッフが目標を見失うリスクを減らせます。たとえば「一次解決率が目標に届いていないが、こうした工夫が足りていないのでは?」など具体的なアドバイスを与えましょう。スタッフ自身も、問題点や成功事例を振り返る時間を確保できます。
評価期間終了後には、あらためてスタッフと面談し、設定した目標がどの程度達成されたかを確認します。定量指標のデータと、定性評価の観点を総合して評価スコアを決定し、それに応じた昇給・賞与・昇格などの判断を行います。ポイントは「どこが優れていたか」「どこを改善すべきか」を明確に伝え、次の目標につなげることです。
スタッフが「自分はどのように評価されるのか」を理解していないと、不安や不満が募ります。評価制度を導入する際には、評価項目やウェイト付け(例えば定量評価50%、定性評価50%など)をはっきり文書化し、全員に説明しましょう。定期的にQ&Aセッションを開き、疑問点を解消する場を設けるのも有効です。
上司が一方的に判断するだけでなく、同僚や他部署からのフィードバックを加味する「360度評価」を導入すれば、多面的な評価が可能になります。特にITサービスデスクでは、他部署やユーザーとのやりとりが多いため、上司だけが把握しきれないスタッフの対応力や工夫が見えてくることがあるでしょう。
一方で、360度評価の実施には手間がかかりすぎる場合もあるので、全体のバランスを見ながら部分的に取り入れる手法も検討できます。
スタッフ自身が「この期間にどんな実績を残したか」「どんな学びや貢献があったか」を書き出す自己評価シートを用いると、上司との認識ギャップを埋めやすくなります。特に定性面のアピール材料として活用しやすく、スタッフが自分の成長を振り返るきっかけにもなります。
定量指標を導入すると、スタッフが「数字だけを追いかける」行動に走る可能性があります。例えば一次解決率を上げるために、適当にクローズを急いだり、ユーザーがまだ納得していないのに対応完了扱いにするなどの形骸化が生じるかもしれません。こうした弊害を防ぐには、定性的評価やユーザー満足度(アンケート結果など)もバランスよく取り入れる必要があります。
ITサービスデスクの業務は、組織のIT環境やユーザーのニーズ変化に合わせて進化していきます。同じ評価項目を何年も使い続けると、実態とかけ離れてしまい、スタッフが頑張っても評価されにくくなる危険があります。定期的に評価基準を見直し、現場の声や最新の業務内容を反映させましょう。
チームワークが重要な環境で、個人の評価だけを強調しすぎると、情報共有を避ける、他人のミスをフォローしないなどの弊害が起きるリスクも。適切にチーム全体の目標や集団成果を評価に含めるなど、個人の成果と組織全体の貢献を両立させるようにデザインすることが大切です。
ITサービスデスクの評価制度は、「スタッフが意欲的にスキルアップし、ユーザー満足度向上に貢献するための仕掛け」として大きな意味を持ちます。定量指標(KPI)と定性評価の両面から、公平かつ透明性のある基準を設け、上司とスタッフが協力して目標設定やフィードバックを繰り返すことで、個人と組織の成長を同時に促進できます。
ただし、数字だけに偏らないよう注意しながら、定期的に評価基準を見直す運用が必要です。また、評価結果を報酬やキャリアにどう反映するのかといった部分が曖昧だと、効果は半減します。スタッフが“納得”し、心から前向きに取り組めるような評価制度を目指して、ぜひ自社のサービスデスク運営に活かしてみてください。
次回は、「ベンダーサポートとの連携術:契約内容と連絡ルートの最適化」と題し、外部ベンダーへの問い合わせやサポート契約をうまく活用するためのポイントを掘り下げます。社内対応だけでなく、外部パートナーとの協力体制もサービスデスクにとっては重要なテーマです。ぜひ引き続きご覧ください。
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ITサービスデスクのチーム内コミュニケーションをいかに円滑にするかは、問い合わせへの素早い対応や、ノウハウの共有・引き継ぎに大きく影響します。特にコロナ禍以降、リモートワークやハイブリッド勤務が普及したことで、従来の「オフィスで直接声をかけ合う」やり方だけではカバーしきれない場面も増えています。そうした背景から、SlackやMicrosoft Teamsなどの「チャットツール」を活用し、リアルタイムに情報をやりとりする組織が急増しています。
しかし、チャットツールを導入しても、運用ルールが曖昧だと逆に通知や雑談が増えすぎて混乱するケースも。また、メールとの住み分けがうまくいかず二重管理に陥る問題もあります。本記事では、サービスデスクチームでチャットツールを導入・活用するメリットと、よく起きがちなデメリットや課題を整理し、効果的なコミュニケーション強化のヒントを提供します。
メールや電話よりもチャットは即時性が高く、問い合わせに対する素早い相談や判断が可能になります。スタッフ同士が「○○のトラブルに対応中ですが、原因が分かりません」と投稿すれば、他のメンバーが即時にナレッジや対処例を返信できるため、対応遅延が減少します。
SlackやTeamsには「チャンネル」や「スレッド」の概念があり、プロジェクトごと、案件ごと、あるいは機能や部署ごとに会話の場を分けることができます。関係者だけが会話を追えばよい仕組みを作れば、情報が混線しにくくなり、「誰がどの問題を担当しているか」が一目で分かります。
「ちょっとした質問や確認事項」をわざわざメールでやり取りするのは手間がかかり、見落としも発生しやすいです。チャットであれば気軽に質問を投げやすく、ステータス確認なども短いメッセージで済むため、メンバー間のやりとりがスムーズになります。リモートワークが多い場合でも、オフィスにいるときのような雑談感覚で情報を交換しやすいのが利点です。
チャットは便利な反面、常時大量のメッセージが流れると、スタッフが落ち着いて作業できなくなったり、重要な情報を見逃すリスクが高まります。特に「全員宛て」や「全チャンネルへの投稿」を乱用すると、ノイズが増えすぎて逆効果です。
チャットツールではリアルタイムのやりとりが主体となるため、過去のやりとりやファイルを探す際に「どのチャンネルに投稿したか分からない」「検索ワードでヒットしない」といった問題に直面しがちです。結果的に必要な情報が埋もれてしまい、誰も参照しなくなるケースもあります。
チャットが気軽だからこそ、業務とは関係ない話題やスタンプのやり取りが増えすぎて、本来の業務連絡が埋もれる場合があります。全く雑談を許さないのも良くないですが、ある程度のルールやマナーを決めておかないと、業務効率が下がる恐れがあります。
チャンネル(スレッド)を作りすぎても逆に混乱します。まずは大きな枠組みで「全体連絡用」「問い合わせ・インシデント対応用」「雑談・雑務用」などに分類し、必要に応じてプロジェクトごとや技術カテゴリごとにチャンネルを追加するのがおすすめです。定期的に使われていないチャンネルを整理する運用ルールを作り、情報が分散しすぎないように気を配りましょう。
全員宛て(@here、@channelなど)を乱用しない方針を徹底することが大切です。本当に全員が知る必要がある情報だけに限定し、個別の質問や特定チーム宛ての場合は個別メンションやチームメンションを使うなど、運用ルールを定めましょう。通知設定も各自が最適化できるようにガイドを用意すると、不要な通知ストレスが減少します。
チャットはあくまで「リアルタイムの対話」ツールであり、長期的に参照されるべき情報はナレッジベースやFAQに整理して保管する習慣を持つべきです。特にインシデント対応の重要ポイントや技術的なTIPSはチャットに流しっぱなしにせず、適宜ナレッジベースへ転記し、「このチャンネルの情報は後日整理します」といった役割分担を決めておくとよいでしょう。
業務で使用するチャットで、あまりにもフランクすぎる言葉遣いが飛び交ったり、プライベートの話題ばかりになると、部外者や新メンバーが入りにくい雰囲気が生まれてしまいます。逆に、まったく雑談が許されないと息苦しくなる場合もあります。社風やチームの雰囲気に合わせて、最低限のマナーやガイドラインを共有し、メンバー全員が安心して利用できる環境を整えましょう。
SlackやTeamsなどでは、サードパーティアプリやWebhookを使って、インシデント管理ツール(ServiceNow、Jira Service Managementなど)と連動させることが可能です。例えばインシデントが新規登録されたら自動的にチャンネルへ通知される仕組みを作り、担当スタッフがすぐに対応を始められるようにするなど、レスポンスを大幅に向上させられます。
簡易的なチャットボットを導入し、ユーザー(またはスタッフ)がチャット内でキーワードを入力すると、関連するFAQやナレッジベースの記事を自動で案内する仕組みも考えられます。これにより、よくある質問への対応スピードが格段に上がり、スタッフの負担も軽減します。
タスク管理ツール(Trello、Asana、Microsoft Plannerなど)とチャットを連携させて、チャットで話題になった内容をそのままタスク化する運用が可能です。議論が盛り上がった末に「じゃあこれ、誰がやる?」という段階で手作業でタスク登録をする手間を省き、抜け漏れを防止できます。
チャットツールを導入することで、ITサービスデスクのコミュニケーションは格段にスピードアップし、リモートワーク環境でも高い連携力を維持できます。しかし、運用ルールを定めずに導入すると、通知過多や情報の埋没といったデメリットを招きかねません。チャンネル設計やマナーの共有、ナレッジベースとの連携などを意識しつつ、小規模からテスト運用を始めるのが賢明です。
次回の記事では、スタッフのモチベーションを高める評価制度の導入法について取り上げます。チャットツールを含む新しい取り組みを成功させるためにも、スタッフのやる気や成果をどう正しく評価するかは重要なテーマとなります。ぜひ引き続きご覧ください。
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ITサービスデスクには日々多種多様な問い合わせやインシデントが舞い込みます。これらのデータを「ただため込むだけ」で終わらせてしまうのは非常にもったいないことです。件数や内容、発生時間帯、影響範囲などを分析すれば、今後のサービス向上やプロアクティブな対策に役立つ“宝の山”になる可能性があります。
しかし、膨大なデータを前に「どこから手を付ければいいのか分からない」「エクセルで集計するのが手一杯」という状態に陥ることも珍しくありません。本記事では、インシデントの傾向分析を実践する際のステップと、可視化ツールを有効活用するためのヒントを紹介します。データドリブンなサービスデスク運営を目指すうえで、ぜひ参考にしてください。
インシデント管理の基本は「発生した問題を迅速に解決する」ことですが、長期的に見ると「同じようなインシデントを二度と起こさない」ことも重要です。傾向分析によって、どのシステムやプロセスでトラブルが多発しているか、どのような原因が繰り返し起きているかを特定し、問題管理や根本対策に繋げられます。
インシデントのデータを可視化すれば、問い合わせが集中する時間帯や曜日、特定の部署・サービスなどが分かります。これにより、人員配置や対応スケジュールを最適化し、スタッフの負担を均等にしたり、繁忙期に応援スタッフを投入したりといった柔軟な対策が可能です。
たとえば「FAQを充実させたら、似たような問い合わせが減ったか?」「新人スタッフの研修を強化したら、平均対応時間はどう変化したか?」といった施策の結果を、インシデントデータで検証できます。数字の面で成果を示せると、追加の予算や協力体制を得やすくなるでしょう。
まずはインシデント管理システムやチケット管理ツールから、過去の問い合わせ履歴やインシデント情報を抽出します。エクセルやCSV形式で出力できるケースがほとんどでしょう。重要なのは「最低限どんな項目が必要か」を洗い出し、データを整理しておくことです。例としては、以下の項目が挙げられます。
データに抜け漏れや重複があると正確な分析が難しくなるため、日々の運用ルールを徹底することが大切です。
次に、「何を見たいのか」「どんな指標を知りたいのか」を明確にし、それに合わせてグラフやチャートを設計します。例えば下記のような切り口があります。
一次分析でざっくりと傾向を把握したら、特に多くのインシデントが発生している領域を深堀りしましょう。たとえば、「ネットワーク関連の問い合わせがやけに多いな」と気付いたら、その内訳をさらに分類して、「VPN接続トラブル」「社内Wifiの不安定」「ルーター設定エラー」など細分化して原因を探ります。ここでナレッジベースやスタッフの声を合わせて参照することで、より具体的な改善策を立案できます。
少数のデータや小規模なサービスデスクであれば、ExcelやGoogleスプレッドシートのピボットテーブル機能やグラフ機能で十分可視化が可能です。特に無料で使えるGoogleスプレッドシートは、複数人でのリアルタイム編集や共有がしやすい点が魅力です。ただし、データ量が多いと動作が重くなりがちなため、定期的にデータをアーカイブするか、より強力なツールへの移行を検討する必要があります。
データ量が大きい場合や、高度な分析・ダッシュボード作成を行いたい場合、BI(Business Intelligence)ツールの導入を検討する価値があります。TableauやMicrosoft Power BIなどは直観的にドラッグ&ドロップでグラフを作成でき、インタラクティブに絞り込み分析が可能です。各種データベースやクラウドサービスと連携してリアルタイムにデータを更新できるため、経営層や他部門への報告資料を自動生成することも容易になります。
問い合わせ管理ツールによっては、標準でダッシュボード機能を備えている製品もあります。ServiceNowやZendeskなどは、インシデント数やエージェントごとの対応状況、SLA達成率などをグラフィカルに表示できる機能が充実しているため、追加のBIツールを導入しなくても一定のレベルの分析や可視化が可能です。
傾向分析で繰り返し発生しているインシデントや、高いコストがかかっている分野が判明したら、問題管理のプロセスと連携して根本原因の特定や再発防止策を検討します。たとえば「VPNに関する問い合わせが多い」のであれば、VPNクライアントのバージョンを一律アップデートする、操作マニュアルをわかりやすく改訂する、FAQのトップに掲載するなどの対策が考えられます。
「夜間や週末に問い合わせが集中しているのに、スタッフが手薄で対応が遅れている」といった状況がデータから見えてきたら、シフト体制を再検討する必要があります。また、応答時間がSLAを満たしていない場合、スタッフ教育や自動化ツールの導入など、具体的な改善策を検討できます。
インシデントが増え始めた時点で、まだ重大トラブルが起きる前に「これはおかしい」と察知することができれば、被害を最小限に抑えられます。傾向分析を継続的に行い、通常よりも件数が増えたときにアラートを出す仕組みを作っておけば、「システム障害の前兆では?」といった早期対応が可能になるでしょう。これを「プロアクティブサポート」と呼び、ユーザーからの依頼を待たずに問題を先回りして解決に動く理想的な形となります。
いくら高度な可視化ツールを使っても、入力データに誤りや重複、分類ミスがあると、分析結果が不正確になります。スタッフが忙しい現場ほど、チケットの記入やカテゴリ選択が適当になりがちです。データを活かすには、定期的に入力ルールを周知し、カテゴリを見直し、品質を担保する取り組みが不可欠です。
単に「問い合わせが多いから〇〇が悪い」と断定するのは早計です。その問い合わせが多いのは、システムの問題なのか、ユーザー教育の不足なのか、あるいはシンプルに利用者が増えただけなのか――複数の要因を検討し、関連する背景情報を照らし合わせる必要があります。定量データと定性情報(スタッフやユーザーの生の声)を組み合わせると、より正しい結論に近づけるでしょう。
分析作業自体が目的化してしまうと、「いろいろなチャートは作ったが、現場の何が改善されたのか分からない」という事態に陥る可能性があります。常に「この分析はどんな意思決定や改善につながるのか」を意識し、成果が出たらフィードバックを行う仕組みを作ることが大切です。
インシデントの傾向分析は、ITサービスデスクがデータを有効活用するうえで欠かせないプロセスです。以下のポイントを押さえれば、より効果的な分析が可能になるでしょう。
次回の記事では、「チームコミュニケーション強化:チャットツール導入のメリット・デメリット」を取り上げます。分析結果を共有し合ううえでも、チーム内のスムーズなコミュニケーションは欠かせません。どのようなチャットツールが活躍し、どんな課題が生じるのか、一緒に考えてみましょう。
企業によっては、ITサービスデスクとコールセンターが別部門として運営されているケースがあります。コールセンターは主に「電話応対専門の窓口」としてカスタマーサポートを担当し、サービスデスクは「ITインシデントや問い合わせの管理・解決」を担当する、といった役割分担です。両者が密に連携できていれば、お互いの強みを活かした効率的なサポートを提供できますが、連携が不十分だと、たらい回しや情報共有の不備が原因でユーザーが不満を募らせることも少なくありません。
本記事では、「コールセンター」と「ITサービスデスク」が共存している組織で、いかにスムーズに連携し、重複やミスを減らすかについて考察していきます。どちらか片方が外部委託(アウトソーシング)であるケースも含め、役割定義や情報共有、スキルアップの面で注意すべきポイントをまとめました。
コールセンターは、電話を中心とした顧客対応窓口であり、問い合わせや注文、クレーム対応など幅広い業務を扱うことが多いです。BtoCビジネス(一般消費者向け)では、商品やサービスの利用方法、トラブルなどの相談が入りやすく、スタッフのコミュニケーションスキルが重要視されます。ITリテラシーよりも「電話応対のスキル」「セールストーク」「クレーム処理能力」などが求められる場面が多いでしょう。
一方、ITサービスデスクは、組織内外のユーザーから寄せられるIT関連の問い合わせやシステム障害、インシデントを管理・解決するのが主な業務です。問い合わせ手段は電話だけでなく、メールやWebフォーム、チャットなど多岐にわたり、インシデント管理ツールを使ってステータスを追跡することが一般的。IT知識を活かしたトラブルシューティングが求められるため、スタッフには技術的な素養やナレッジベースの活用スキルが必須となります。
「一次対応=コールセンター、二次対応=サービスデスク」という形で、窓口と専門部署を分ける例が多いです。具体的には下記のようなフローが考えられます。
このフローを機能させるには、一次対応で解決できる問い合わせの範囲・難易度を定義し、スクリプト化しておくことが重要です。
コールセンターが対応できる範囲を超える場合、あるいは緊急度が高い場合など、どのタイミングでサービスデスクへエスカレーションするのか、具体的な基準を設定します。「優先度が高いインシデントは○時間以内にサービスデスクへ」「手順書に載っていないエラーコードは即エスカレーション」といった形でルール化すると、現場の混乱を防ぎやすくなります。
エスカレーションの際は、どのようなチャネル(電話、チャット、チケット管理システム)を使い、どの情報を必須で渡すかを統一しておきましょう。インシデント管理ツールを共通化し、コールセンターとサービスデスクが同じ画面でチケット情報を参照できるようにすると、漏れや重複が減ります。
コールセンターが電話で受け付けた問い合わせを、その場でチケット管理システムに登録し、サービスデスクが内容を確認できるようにする運用が理想です。チケットには、ユーザーの基本情報、問い合わせ内容、ヒアリングした内容を漏れなく入力しておきます。サービスデスクが対応を開始したら、経過やステータスをチケットに反映し、コールセンター側も進捗を見守れるようにします。
コールセンターのオペレーターは、ITに詳しくないユーザーからさまざまな質問を受けるかもしれません。簡単なトラブルシュート手順やFAQが整備されていれば、一次対応で解決できる範囲が広がります。サービスデスクが日常的にナレッジベースをメンテナンスし、コールセンターにも閲覧権限を付与しておくと、二次対応へ回す必要がない案件を削減できるでしょう。
コールセンターとサービスデスクのどちらでどれだけの問い合わせを受け、どのくらいの割合がエスカレーションされているのか、平均対応時間はどうか、といったデータを定期的に集約し、レポーティングすることで改善ポイントを見つけやすくなります。エスカレーション率が高い領域があれば、一次対応でカバーできるようスクリプトやFAQを充実させるなど、戦略的なアクションにつなげられます。
コールセンターとサービスデスクが相互に理解を深めるために、一定期間スタッフ同士で業務を体験する「クロストレーニング」を導入する企業もあります。コールセンターのスタッフがサービスデスクのオペレーションを見学したり、逆にサービスデスクのスタッフが電話対応の研修を受けたりすることで、連携時のスムーズさやお互いへのリスペクトが生まれやすくなります。
部門間で定期的に連携ミーティングを開催し、運用上の問題点や課題を共有しましょう。例えば「最近エスカレーション時の情報が不足している」「FAQが古くなってきている」「ユーザーからのクレームが増えている分野がある」など、生の現場の声を聞いて議論し、改善策を話し合う場を設けます。こうしたミーティングを通じて信頼関係が醸成され、エスカレーション時のやりとりが円滑になります。
コールセンターとサービスデスクのスタッフは、それぞれ求められるスキルセットやキャリアパスが異なる場合があります。コールセンターではコミュニケーション能力を活かした研修や評価制度、サービスデスクではITスキルや問題解決能力を重視した研修やキャリアアッププランを用意するなど、部門の特性に合わせたマネジメントが必要です。
コールセンターとITサービスデスクの連携は、ユーザーの利便性を高め、社内外の問い合わせ対応を効率化するうえで大きな効果を発揮します。ポイントは以下のとおりです。
次回の記事では、「インシデントの傾向分析:可視化ツールを使いこなそう」をテーマに、問い合わせデータや障害データをどのように分析し、どの部分を改善すれば効果的かを探るための手法を紹介します。ぜひ引き続きご覧ください。
ITサービスデスクは、ユーザーとの接点が多い部署であるがゆえに、サービスレベルや対応品質の評価を“直接”受けやすい立場にあります。その評価は、単に「ありがとう」「困った」といった口頭の感想にとどまらず、きちんとアンケート調査という形で定量・定性の両面から収集することで、サービス全体の改善に活かすことが可能です。
しかし、アンケートを実施すると決めた際、「設問が多すぎる」「質問内容が漠然としている」などの理由で、ユーザーの回答率が下がってしまうケースも珍しくありません。そこで本記事では、「ユーザーアンケートをどのように設計し、運用すれば、効果的にフィードバックを得られるのか」をテーマに、具体的な方法論やヒントを提供します。ITサービスデスクに限らず、社内外のユーザーアンケート活用を考えている方にも参考となる内容です。
サービスデスクの改善を進める際、「現在の対応品質は良いのか悪いのか」「どの部分にユーザーが不満を感じているのか」といったデータがなければ、正確な課題把握は困難です。スタッフ個人の主観や、特定のユーザーの声だけに頼ると、全体像が歪む恐れがあります。アンケート調査を行うことで、より客観的で幅広い視点のフィードバックを得ることができます。
ユーザーに聞いてみると、「一次対応のスピードは満足だが、エスカレーション時の情報共有が不足している」など、具体的な要望が浮かび上がることがあります。これを踏まえて改善施策を立案すれば、限られたリソースを本当に必要な部分に集中投入できるでしょう。アンケート結果は、改善優先度を決定する際の強力な根拠となります。
アンケートを通じて「私たちはあなたの意見を大切にしています」というメッセージを送ることは、ユーザーとの関係構築にも役立ちます。回答内容を踏まえた改善策を実行し、その成果をフィードバックすることで、ユーザーは「声を届ける意味がある」と感じ、協力的になってくれる可能性が高まります。
まず重要なのは、「何のためにアンケートを取るのか」をはっきりさせることです。例えば、以下のように目的を定義すると良いでしょう。
目的があいまいだと質問項目が散漫になり、回答者に余計な負担をかけてしまいます。
アンケートは短いほど回答率が上がる傾向にあります。あれもこれも聞きたい気持ちは分かりますが、必要最低限の質問に絞り、5〜10問程度に収めるのがおすすめです。どうしても詳細を知りたい場合は、任意回答の自由記述欄を設け、そこに深掘り質問を配置するなど、回答者の負担を軽減する工夫をしましょう。
「はい/いいえ」や「5段階評価」といった定量的な設問は集計しやすく、比較や変化の測定にも向いています。一方で、ユーザーの生の声を知るには自由記述欄が有効です。両者をバランスよく組み合わせると良いでしょう。ただし自由記述欄を多く設けすぎると回答に時間がかかり離脱されやすいので、最小限に留めるのがポイントです。
専門用語が多いと、ユーザーが「質問の意図が分からない」と感じて回答を放棄してしまう恐れがあります。また、社内向けアンケートであっても部署や職種によって使う用語が異なるため、なるべく平易な表現を使い、例示を加えるなどして誤解を減らすことが大切です。
問い合わせ対応が完了したタイミングが、もっとも生の感想を得やすい時期です。サポートメールの末尾に「この対応はいかがでしたか?」「5段階で評価してください」といった超短文アンケートを設置する手法は、多くの企業が採用しています。回答するハードルが低いため、日常的にユーザー満足度をトラッキングできるメリットがあります。
半年に一度や年に一度の頻度で、全ユーザー(または特定部署・顧客)を対象に「サービスデスク全体の満足度」や「改善してほしい点」を問うアンケートを行う方法です。短期的な感想ではなく、総合的・中長期的な評価を得たい場合に有効です。回答率が下がりやすいので、協力してくれたユーザーに対してちょっとした特典(例:抽選で景品など)を用意するケースもあります。
セルフサービスポータルや社内サイトに「サービスデスクへのフィードバックフォーム」を常設しておく手もあります。いつでも意見を届けられるという安心感を与えられますが、特定の時期に集中して呼びかけないと回答が集まらない懸念もあります。定期的なリマインドと組み合わせるのがポイントです。
5段階評価の平均点や、「良い」「普通」「悪い」の割合などは、グラフ化することで変化や傾向を把握しやすくなります。ExcelやBIツールを使って時系列で推移を追ったり、部門ごとに比較したりすることで、どこに力を入れるべきかが見えてくるでしょう。また、サンプル数(回答数)が十分あるかどうかも考慮が必要です。回答が数件しかないと極端な評価になる場合があります。
自由記述欄には、具体的なエピソードや感情が込められたコメントが多く含まれるため、サービスデスク改善の宝庫とも言えます。しかし、一つひとつ目を通すのは骨が折れる作業です。テキストマイニングツールやキーワード分析を活用し、「よく使われる単語」「ポジティブ/ネガティブの比率」などをざっとチェックすることで、回答内容を効率的に整理できます。特に「遅い」「不親切」「ありがとう」「助かった」といった感情を示す単語に着目すると、対応品質やスタッフの態度に関する手がかりが得られるでしょう。
アンケート結果は、サービスデスク内部だけでなく、上層部や関係部署にも共有し、協力を仰ぐ材料にできます。たとえば「エスカレーション先の専門チームへの不満が多い」という結果が出たら、該当チームと連携して問題を解消する必要があります。可視化されたレポートを短時間で共有できるように、定型のフォーマットを用意しておくと便利です。
アンケート分析で判明した課題に対して、具体的な改善アクションを設定しましょう。例えば「一次応答に時間がかかりすぎる」という声が多ければ、対応スタッフのシフトやSLAの見直しを検討します。「専門用語が多くて分からない」という意見が多ければ、FAQの改訂やスタッフのコミュニケーション研修などが考えられます。
アンケート協力者に「集計結果」と「今後の改善施策」を簡潔に知らせると、「意見が反映されている」と感じてもらいやすくなります。社内ポータルやメール、掲示板などを活用し、「次のステップとして○○を実行予定です。ご協力ありがとうございました」といったメッセージを発信すると良いでしょう。この“お知らせ”があるのとないのとでは、次回アンケートの回答率に大きな違いが出ます。
アンケート結果をもとに改善策を実施しても、それが本当に効果を発揮したかどうかは、次のアンケートや日常的なモニタリングで確認する必要があります。このように「アンケート→改善→再度アンケート・モニタリング→さらなる改善」のサイクルを回すことで、サービスデスクの品質を段階的に向上させることができます。
ユーザーアンケートは、ITサービスデスクの現状を客観的に把握し、改善の優先度を見極めるうえで非常に重要なツールです。ただし、設問が複雑すぎたり、回答に手間がかかりすぎたりすると、十分なサンプルが集まらないリスクがあります。目的を明確にし、設問数や言葉遣いを工夫したうえで、定期的かつ継続的に実施・分析し、改善アクションをユーザーにフィードバックする一連の流れを確立しましょう。
次回の記事では、コールセンターとサービスデスクの連携について扱います。テレフォンサービスを主とするコールセンターと、ITを中心に問い合わせを受け付けるサービスデスクとの間に生じがちなミスや重複対応を減らすためのポイントを解説します。ぜひ続けてご覧ください。
ITサービスデスクの運用に関して、世界的に広く採用されているベストプラクティスが「ITIL(IT Infrastructure Library)」です。ITILでは、サービスサポートやサービスデリバリといった概念を体系的に整理し、インシデント管理・問題管理・変更管理などのプロセスを規定しています。ITILを活用することで、サービスデスクの質を高め、組織全体のITサービスマネジメントを円滑にする手助けとなります。
ただし、ITILのフレームワークは非常に幅広いため、現場レベルで「結局どのプロセスをどう導入すればいいのか分からない」という声も聞かれます。本記事では、ITILにおけるサービスデスク関連の基礎プロセスを中心に、その概要と導入の要点をわかりやすくおさらいします。すでに部分的に取り入れている組織でも、改めてプロセスを振り返ることで改善のヒントが得られるはずです。
ITILは、イギリス政府の機関によって開発された、ITサービス管理(ITSM: IT Service Management)のベストプラクティス集です。現在はAXELOSという組織が管理しており、バージョンアップを重ねつつ、グローバルスタンダードとして広く認識されています。ITILは「サービスストラテジー」「サービスデザイン」「サービストランジション」「サービスオペレーション」「継続的サービス改善」といったライフサイクル全体をカバーし、その中にサービスデスク運営に直結するさまざまなプロセスが含まれます。
ITILにおいて、サービスデスクは「ITサービスとユーザーの窓口」として位置付けられています。ユーザーからの問い合わせやインシデント報告を一元的に受け付け、スムーズに対応することで、サービス全体の品質維持に大きく貢献します。また、問題管理や変更管理など他のプロセスと連携しやすい仕組みを作ることで、サービスデスクが単なる受付窓口にとどまらず、ITサービス全体を最適化するエンジンとして機能するようになるのです。
インシデント管理は、「サービスの中断や低下を引き起こす事象(インシデント)を速やかに復旧させる」ことを目的とします。サービスデスクが一次対応し、必要に応じてエスカレーションする流れや、チケット管理システムを用いた可視化など、日々の問い合わせ対応で中心的に扱われるプロセスです。ITILでは以下のようなポイントが重視されます。
問題管理は、「インシデントの根本原因を特定し、再発防止策を講じる」ことを目的とします。一度のインシデント対応で終わらせず、何度も同じ障害が起きないようにするためのプロセスです。サービスデスクで発生するインシデントを記録し、頻繁に再発している問題や重大障害の原因を分析し、恒久対策を考案する役割を担います。具体的には以下のステップが含まれます。
変更管理は、「ITサービスやインフラに対する変更をリスクを最小化して実施する」ことを目的とします。システムアップグレードや設定変更などが混乱なく進むよう、事前に計画と承認プロセスを定義するのが肝心です。サービスデスクは変更管理とも連携し、ユーザーから寄せられる要望(新機能追加、既存システムの修正など)に対して、どのような手順で実施するかを可視化します。
リリース管理は、ソフトウェアやシステムの新バージョンを安全に展開するプロセスです。サービスデスクは、ユーザー向けの告知やリリース後の問い合わせ対応、トラブルシューティングなどに深く関わることがあります。ITILではテスト環境・ステージング環境を経て本番リリースする手順や、リリース単位の計画づくりを重視しています。
サービスレベル管理は、ユーザーと合意したSLAを達成するために必要な活動を行い、継続的にレビューするプロセスです。サービスデスクとしては、一次応答時間や解決時間などの指標をモニタリングし、達成率をレポートしながら必要に応じて改善策を検討します。前回の記事でも取り上げたように、SLAの設定と運用はサービスデスクの大きな指針となります。
多くの組織では、まずはインシデント管理を整備し、サービスデスクでの対応を標準化するところから始めます。具体的には、チケット管理システムを導入し、インシデントの受付からクローズまでのプロセスをフローチャート化。優先度設定とエスカレーションルールを明確にし、一定期間運用してみるのです。これによって、問い合わせ対応が改善される効果を体感しやすくなります。
インシデント管理が安定してきたら、繰り返し発生するインシデントや重大障害を「問題」として扱い、根本原因を調査する問題管理を導入します。各担当チームから代表を集めて問題分析会を行い、再発防止策のタスクを管理・実行するフローを確立すると、大幅に障害件数が減る可能性があります。
インシデントと問題のプロセスが軌道に乗れば、SLA管理や変更管理のプロセス導入に進むとスムーズです。これは組織の規模や成熟度によっても異なるため、焦らず段階的に拡張していくのが望ましいと言えます。
ITILは、サービスデスク運営を含むITサービスマネジメント全般において強力なガイドラインを提供しています。インシデント管理や問題管理、変更管理など、サービスデスクの業務に直接かかわるプロセスを整備することで、問い合わせ対応の効率化や再発防止、ユーザー満足度向上といった効果が期待できます。ただし、フレームワークが大きい分、無理に全部を取り込もうとすると運用が複雑化しがちです。まずはスモールスタートで導入し、成功体験を積みながら段階的に拡大していくのが現実的なアプローチでしょう。
次回以降の記事では、具体的なツール事例やITIL導入企業の成功談なども取り上げながら、さらなるヒントをお伝えします。サービスデスクを「単なる問い合わせ窓口」ではなく、組織のIT活用を支える重要な機能として育てていきたい方は、ぜひ継続的にご覧ください。
ITサービスデスクの業務には、ユーザーからの問い合わせに応じてツールを操作したり、データを抽出してレポートを作成したり、定型的な作業が多く発生します。これらのタスクを毎日手動で繰り返していると、スタッフの生産性が低下し、本来取り組むべき高度なトラブルシューティングやユーザー対応に時間を割けなくなる恐れがあります。
そこで注目されるのが、RPA(Robotic Process Automation)です。ソフトウェアロボットを使って、画面操作やファイル転送などの繰り返し作業を自動化することで、業務効率化や人的ミスの削減が期待できます。本記事では、ITサービスデスクの現場でよくある定型業務の例と、RPA導入時のポイント、注意点について詳しく解説します。
RPAによって、これまでスタッフが手動で行っていた操作をロボットに任せることで、大幅に作業時間を短縮できます。パスワードリセット手順やアカウントロック解除、レポート作成などが自動化されれば、その分の人件費や時間リソースを削減できるため、コスト効率が向上します。
定型業務は単純作業ゆえに、スタッフが疲れているときや集中力を欠いているときにミスを起こしやすい領域でもあります。RPAが実行する場合、あらかじめ設定された手順通りに操作するため、入力ミスやコピー&ペーストミスがほぼゼロになります。結果として、問い合わせ対応やレポートの正確性が保たれ、ユーザー満足度の向上にも寄与します。
誰しも同じ作業を延々と繰り返す仕事は退屈でモチベーションが下がるもの。RPAによってルーチンワークが削減されれば、スタッフはより付加価値の高い業務(複雑な問題解決、ユーザーコミュニケーション、改善プロジェクトなど)に集中できます。これにより、スタッフの成長機会ややりがいが増すことも期待できます。
サービスデスクに寄せられる問い合わせの中でも、パスワード忘れやアカウントロック解除といった定型的な操作は頻度が高いです。ツールの管理画面にアクセスして、ユーザーIDを検索し、ステータスを変更して…といった一連の手順をRPAで自動化すると、対応スピードが一気に上がります。ユーザーから見れば「問い合わせ後すぐにアカウントが復旧した」という印象を持ち、満足度が高まるでしょう。
新しいソフトウェアやアップデートを社内PCに一斉配布する場合、手動で作業を行うとPC台数が多いほど時間がかかります。また、更新のタイミングを誤って業務中に負荷を与えてしまうと混乱が生じる可能性も。RPAでスクリプトや管理コンソールへのログインから実行までを自動化すれば、深夜帯や休日にロボットが作業を進めることも可能です。
問い合わせ件数や対応時間、SLA達成率などのレポートを定期的に作成するのは重要ですが、手動作業が煩雑だとミスの原因になりがちです。ExcelやBIツールへのデータ入力、グラフ作成などをRPAで自動実行する仕組みを構築すれば、スタッフの負担を軽減しつつ、タイムリーで正確なレポートを入手できます。
FAQやナレッジベースの更新があった際に、自動でスタッフに通知を行う、あるいは特定のフォーマットに沿って記事を投稿する作業などもRPAに任せられます。これにより、更新漏れや周知不足が防止され、チーム全体で最新情報を常に共有しやすくなります。
RPAは万能ではありません。導入する前に、まずはサービスデスク内の業務フローを可視化し、自動化に適した部分とそうでない部分を選別する必要があります。下記の観点をチェックすると優先度付けがしやすいでしょう。
最初は小規模なタスクから着手し、成功事例を作ることで社内の理解と協力を得やすくなります。
RPAツールには、UiPathやAutomation Anywhere、Blue Prismなどの商用製品から、オープンソースやスクリプトベースのソリューションまで多様な選択肢があります。選定時には以下の観点を考慮しましょう。
導入前にPoC(概念実証)を行って、実際の業務自動化がスムーズかどうか検証しておくと安心です。
RPAでは、処理手順を「シナリオ」または「ワークフロー」として登録し、ロボットに実行させます。シナリオ作成時には、例外ケースやエラー発生時の挙動を含めて細かく設計することがポイントです。ユーザー入力が想定と異なる場合、ネットワーク障害でツールにログインできない場合など、あらゆる可能性に備えておく必要があります。十分なテストと検証期間を設け、安定稼働できることを確認してから本番稼働に移行しましょう。
RPAはあくまで「既存の操作手順を自動化」するツールです。運用が複雑化しすぎると、誰もシナリオの中身を理解していない状態(ブラックボックス化)に陥り、ロボットが止まったときに誰も対処できないリスクが生まれます。スタッフ間でシナリオの内容を共有し、ドキュメント化するなど、可視性を保つ工夫が必要です。
RPAは画面操作やUI要素に依存するケースが多いため、対象となるシステムやツールの画面構成がアップデートされると、シナリオが動作しなくなる可能性があります。導入時に「システム変更があった場合の改修費用や工数」を見込んでおき、運用体制を整えておくことが大切です。
RPAロボットがパスワードを入力したり、機密情報にアクセスしたりする場合、人間が扱うのと同等のセキュリティリスクを考慮しなければなりません。ロボット用アカウントの権限を最小限にするとともに、作業ログを監査できる仕組みを導入して不正利用を防止します。
RPA導入による業務効率化を「人員削減」と捉えてしまうスタッフがいるかもしれません。組織としては「ルーチンワークをロボットに任せることで、スタッフがより重要な業務に取り組めるようにする」というポジティブなメッセージを発信し、必要なスキルアップ支援を行うなど、従業員のキャリア形成をサポートする姿勢が重要です。
RPA導入の効果を明確化するために、導入前後で次のようなKPIを比較します。
数値として改善が見える化されると、追加のRPA投資や自動化領域の拡大にも理解が得やすくなります。
一度自動化を実装して終わりではなく、システムアップデートや業務変更に応じてRPAシナリオの修正を行う定期メンテナンスが必須です。担当者を決めて、月次または四半期ごとにシナリオの動作確認や改善策の検討をするのが理想的です。
RPAだけでなく、API連携やサーバレスアーキテクチャなど、より直接的にシステム間でデータをやり取りできる手法もあります。場合によってはRPAではなく、業務システム自体の刷新やスクリプトによる自動化のほうが望ましいケースもあるでしょう。RPAが得意な領域(UI操作を伴うもの)と、他の自動化手法との使い分けを考えると、さらに効果的な業務効率化が可能になります。
RPAによる定型業務の自動化は、ITサービスデスクの業務効率を大きく向上させるポテンシャルを秘めています。しかし、その導入プロセスには「業務フローの棚卸し」「優先度付け」「シナリオ設計」「メンテナンス体制の構築」など、慎重な計画と継続的な運用が不可欠です。また、すべてをRPAに任せればいいわけではなく、システム変更への対応やセキュリティリスクなどにも十分配慮が必要です。
上手にRPAを活用できれば、サービスデスクスタッフは複雑なトラブルシューティングやユーザー対応に注力できるようになり、サービス品質の向上やスタッフの働きがいにつながるでしょう。次回の記事では、「ITILに基づくサービスデスク運営」をテーマに、ITILの基礎プロセスをおさらいし、組織全体のサービスマネジメントを強化する方法を紹介します。どうぞお楽しみに。