■ はじめに
第3話ではCTF大会の主催・運営方法を学びました。CTFも一種の「ゲーミフィケーション」要素を含む学習コンテンツですが、セキュリティ教育の分野では、CTF以外にもさまざまなゲーム化されたトレーニングが注目を集めています。第4話では「ゲーミフィケーション」とは何か、またサイバーセキュリティの学習でどのように活用できるのか、具体例を通じて解説します。
■ ゲーミフィケーションの概念
- ゲーム要素を学習や業務に応用する手法
- ポイント、バッジ、ランキングといったゲーム特有の仕組みを取り入れることで、学習者や従業員のモチベーションを高め、自主的な参加意欲を引き出す。
- CTFはまさにこの一例で、問題解決や対人戦などのエンタメ要素が学習体験を充実させる。
- メリット:楽しく、継続的に取り組める
- 学習や訓練はときに単調になりがちだが、ゲーミフィケーションによって目標達成や仲間との競争を楽しめる。
- 達成感や競争心が刺激されるため、学習内容が記憶に残りやすいという効果も期待できる。
- 注意点:浅い理解で終わらない工夫が必要
- ポイント稼ぎだけを目的にしてしまうと、本質的なスキル獲得や知識の定着につながらない可能性もある。
- 遊びと学びのバランスを設計することが成功の鍵。
■ サイバーセキュリティ分野のゲーミフィケーション例
- 脆弱性発見レース
- Webアプリや仮想マシンに仕込まれた脆弱性を早く多く見つけた人が勝ちという形式。
- ダッシュボードで発見数や発見速度を競い合えるようにすると、攻撃者視点のスキルが楽しく習得可能。
- SOCシミュレーションゲーム
- 従業員がSOC(セキュリティオペレーションセンター)スタッフ役となり、疑似ログやアラートをリアルタイムで見ながら、インシデントを早期に見つける。
- スコアは検知スピードや正確性で決まり、誤検知を連発すると減点といった要素を盛り込むとリアル感が高まる。
- ランサムウェア対策ボードゲーム
- カードやボードを使ったアナログゲームで、組織内のセキュリティ投資やリスク管理をシミュレートする。
- 攻撃カード(ランサムウェア、フィッシング)と防御カード(バックアップ、パッチ適用)を組み合わせ、予算をどう振り分けるかなどを考えながら遊ぶ事例がある。
- フィッシング訓練プラットフォーム
- ゲーム感覚で「このメールは本物?フィッシング?」を瞬時に判断するクイズ形式のトレーニング。
- 成績がランキングで表示されたり、メールを正しく報告するとポイント獲得したりする仕組みを導入する企業が増えている。
■ ゲーミフィケーション導入のポイント
- 目的と学習効果を明確に
- 何を学ばせたいのか、どのスキルを身につけさせたいのかを定義し、それに合わせてゲーム要素を設計。
- 単純な「楽しい」だけでなく、知識や行動変容につなげる意図を持つと良い。
- 難易度とストーリー性
- 参加者に応じて難易度を調整し、最適なチャレンジ感を提供。難しすぎると離脱、易しすぎると飽きてしまう。
- ストーリーやシナリオがあると、没入感が高まり、学習意欲が持続しやすい。
- フィードバックと報酬設計
- ポイントやバッジ、ランキングといった報酬だけでなく、正解・不正解時の解説や「次回はこうすると良い」というフィードバックが学習効果を高める。
- チーム戦や協力要素を入れることで、仲間同士の学び合いが促進される。
- リアル運用とシステム管理
- ゲーミフィケーション用のアプリやプラットフォームを導入する場合、安定稼働やユーザーサポートが必要。
- 大人数が同時にアクセスしても快適に利用できるよう、インフラ面も考慮する。
■ まとめ
ゲーミフィケーションは、CTFやその他のゲーム形式トレーニングを通じて、セキュリティ学習を楽しく、継続しやすいものにするアプローチです。次回の第5話では、具体的なゲーミフィケーション導入事例やツールをもう少し詳しく取り上げ、企業や教育機関での活用ケースを紹介していきます。