■ はじめに
第1話・第2話では、CTFの基本概要や問題形式、教育プログラムへの取り入れ方を紹介しました。第3話では「いざCTFを主催・運営したい!」という場合を想定し、準備から当日の運営、終了後のフォローアップまでの一連のステップを解説します。社内イベントや学校行事としてCTFを企画する際に、参考にしていただければ幸いです。
■ 1. 目的と規模の明確化
- ターゲット参加者の設定
- 学生向けか、社内エンジニア向けか、一般公開で幅広く募るかなど、対象をはっきりさせる。
- 参加者のレベルに合った問題やルールを決めるために重要なプロセス。
- 大会形式と期間の設定
- Jeopardy型か攻防戦型か、あるいはハイブリッドか。
- オンライン限定か、オンサイト(会場)で行うか、ハイブリッドにするか。時間や期間(数時間~数日)も考慮する。
- 予算や賞品、スポンサーの有無
- 参加費を取るのか、無料にするのか。賞品を用意する場合は費用や提供元を検討。
- 企業スポンサーを募れば、大会の認知度向上や資金面のサポートが期待できるが、運営上の調整も発生する。
■ 2. 問題作成とシステム構築
- 問題の企画・作成
- 社内のセキュリティエンジニアやCTF経験者に依頼し、コンセプトやレベル感を統一した問題群を用意する。
- 外部のCTF制作サービスやフリーの問題集を参考にしても良いが、オリジナル要素を入れると参加者の満足度が上がる。
- インフラ構築
- CTFプラットフォーム(Scoring Server)を準備し、ユーザー登録や得点管理ができるシステムを用意。
- Dockerや仮想マシンを使って各問題用環境(攻撃対象サーバーなど)を分離し、セキュリティリスクを最小化する。
- 有名なオープンソースプラットフォーム例として、CTFd(公式サイト (要確認)) などが挙げられる。
- テストとバグ修正
- 問題の完成後、内部チームやTrusted Testerにテストプレイしてもらい、正解が正しく受理されるか、意図しない攻略法がないかをチェック。
- インフラの負荷テストやスケーリングの検討も行い、大会当日にサーバーがダウンしないように備える。
■ 3. 告知・募集と参加者支援
- 告知サイトやSNS運用
- 大会の公式WebサイトやSNSアカウントを開設し、スケジュールやルール、賞品、よくある質問などを周知。
- 募集開始から開催日までに定期的に情報発信し、盛り上がりを作ることが大切。
- 参加者登録の流れ
- チーム参加か個人参加かを決め、受付フォームやエントリー用リンクを整備。
- 初心者向けに事前講習会やハンズオンを開くと参加ハードルが下がり、エントリー数も増える傾向がある。
- サポート体制の準備
- 開催期間中に質問や技術トラブルが発生するのは当たり前。即時対応できるスタッフを配置し、問い合わせ窓口を明確にしておく。
- Frequently Asked Questions(FAQ)を充実させ、可能な範囲でヒントを提供すると、初心者も脱落しにくい。
■ 4. 当日の運営と進行管理
- スケジュール遵守とアナウンス
- 開始時間、終了時間、休憩や中間発表などのタイムテーブルを事前に設定し、適宜アナウンスする。
- 問題の修正や不具合対応があれば、SNSや公式サイト上で迅速に連絡。
- リアルタイムスコアボードの活用
- 参加チームの得点や順位がリアルタイムに表示されると、競技の盛り上がりにつながる。
- 大規模大会では会場のディスプレイに映し出して観客が楽しむ例もある。
- セキュリティと公平性の確保
- 他チームのサーバーや運営システムへの不正攻撃を防ぐため、レギュレーション違反を監視するスタッフが必要。
- 明らかなチート行為があれば失格処分にするなど、ルールの明確化が求められる。
■ 5. 終了後のフォローアップ
- 解説・解答解説会
- 大会終了直後に各問題の解説や攻略手法を公開し、参加者の学習効果を高める。
- オンラインの場合は、YouTubeライブやドキュメント共有などで後から閲覧できるようにすると便利。
- 表彰式・結果発表
- 入賞チームへの賞品授与や記念品配布など、達成感を得られる場を用意。
- 大会成績が社員の評価やキャリアに反映されるような仕組みを作る企業もある。
- アンケートと次回改善
- 参加者やスタッフからフィードバックを収集し、問題の難易度や運営のスムーズさなどを検証。
- 結果を踏まえ、次回大会への改善策を検討するPDCAサイクルを回す。
■ まとめ
CTFを成功させるには、目的設定からインフラ構築、運営・フォローアップに至るまで、細かな配慮が必要です。特に大会当日のトラブル対応や参加者サポートに注力すると、参加者の満足度が大きく高まります。次回の第4話では、CTFと並んで注目されるゲーミフィケーション全般について、具体的な事例や導入ノウハウを紹介していきます。