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■ はじめに
サイバー攻撃というと、ハッキングツールやウイルス、ランサムウェアなど技術的な攻撃を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、現実には「人間の心理や行動の隙を突いて情報を引き出し、不正な行為を誘導する」ソーシャルエンジニアリングが、依然として多くの被害を生んでいます。
近年、企業の情報漏えいや金融詐欺の多くが、単なるシステムの脆弱性ではなく、人間のミスや心理的な弱点を突いた攻撃によるものです。本記事では、ソーシャルエンジニアリングの基本的な手口や特徴、なぜ今もなお効果的な攻撃手法として広く使われているのかを解説します。
■ ソーシャルエンジニアリングとは?
「社会的なエンジニアリング」という名の通り、人間関係や心理的要素を利用した攻撃手法の総称です。技術的なハッキングを行うことなく、ターゲットから情報を引き出すことを目的としています。具体的には、以下のような手口があります。
1. なりすまし(インパーソネーション)
攻撃者が企業の従業員、取引先、友人、あるいは公的機関を装い、メール・電話・SNSで接触してくる手口です。
事例
- 「システム管理者です。あなたのアカウントに異常があるので、パスワードを変更してください」と言われ、偽のログインページに誘導される。
- 「経理担当ですが、至急取引先への振込が必要です」とCEOを装ったメール(BEC詐欺)が送られ、高額な資金を送金してしまう。
2. 尾行・盗み見(ショルダーハック)
オフィスやカフェなどで、他人の画面を覗き見たり、機密文書をこっそり撮影する手口。
事例
- 混雑した電車内で、ビジネスマンがノートPCを開いて作業している際に、パスワードや機密情報が見えてしまう。
- カフェでオンライン会議をしている際に、スクリーンに映った情報を第三者が盗み見る。
3. 電話・チャットを使った詐欺(プレテキスティング)
攻撃者がサポート担当者や銀行員、システム管理者を装い、ターゲットを騙して情報を引き出す。
事例
- 「こちらは銀行のセキュリティ部門ですが、お客様の口座で不審な取引がありました」と言われ、口座情報を提供してしまう。
- チャットツールで「システム管理部ですが、社員情報のリストを送ってください」と連絡が来て、誤って内部情報を送信してしまう。
■ なぜソーシャルエンジニアリングが有効なのか?
ソーシャルエンジニアリングは、人間の心理や行動の習慣を悪用するため、技術的なセキュリティ対策では防ぎきれない特徴があります。
1. 技術的対策では完全に防げない
- ファイアウォールやウイルス対策ソフトがあっても、人が**「騙される」ことを防ぐ仕組みはない**。
- 攻撃者にとっては、システムをハッキングするより「人間を騙す方が簡単」。
2. 情報の一元化とSNSの普及
- 企業や個人がSNSに情報を投稿する機会が増え、攻撃者は事前調査でターゲットの趣味や交友関係を把握しやすくなった。
- LinkedInやFacebookで「会社名・職種」を確認し、内部情報を推測する。
3. 人間の習慣・心理的弱点
- 「相手を疑うのは失礼」「助けを求められると断れない」といった心理を利用される。
- 上司や顧客からの急ぎの依頼に対し、確認せず対応してしまうケースが多い。
■ まとめ
ソーシャルエンジニアリングは、人間の心理や行動の癖を利用して情報を盗む手口であり、**高性能なセキュリティソリューションの“盲点”**となることが多いです。
この攻撃を防ぐためには、技術的な対策だけでなく、従業員一人ひとりの意識を向上させることが不可欠です。
次回(第2話)では、より具体的な攻撃パターンと、それに対処するために欠かせない「ヒューマンファイアウォール」の概念について解説していきます。ヒューマンファイアウォール」の概念について解説していきます。
【参照URL】
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