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はじめに
ITサービスデスクに寄せられる問い合わせは、かつては電話や対面が主流でしたが、昨今はメールやWebフォーム、チャット、SNSなど多岐にわたります。一方で、様々なチャネルを用意すれば便利というものでもなく、それぞれのチャネルに応じた対応体制やルールを整えないと、逆にスタッフの負担が増し、ユーザーが混乱することもあり得ます。
本記事では、「マルチチャネル時代の問い合わせ対応」について、そのメリットとデメリット、そして具体的な使い分けのコツを解説します。電話・メール・チャットなどの主要チャネルをどう設計し、運用すればサービスデスクがスムーズに機能するのかを考察していきましょう。
1. マルチチャネル対応のメリット・デメリット
1-1. メリット
- ユーザーの利便性向上: 好きなチャネルで問い合わせできるため、利用者が感じるハードルが下がる。
- 時間帯や状況に応じた最適化: 電話が苦手な人はメールを選べる、緊急度が高い場合はチャットで迅速対応など、ケースバイケースで使い分けが可能。
- 問い合わせ削減にも繋がる: チャットボットやFAQ連携で自己解決を促す施策を併用すれば、スタッフの負担も軽減できる。
1-2. デメリット
- 管理が煩雑化: 多数のチャネルを用意すると、問い合わせ情報の一元管理やスタッフへの振り分けが複雑になる。
- スタッフ教育コストの増大: 電話対応、メール文面作成、チャットでのやり取りなど、それぞれにノウハウが必要。
- 応対品質のばらつき: チャネルごとに使い分けルールが曖昧だと、返信スピードや対応内容が不統一になりやすい。
2. 主要チャネルの特徴と使い分け
2-1. 電話対応
- 特徴: リアルタイムコミュニケーション。緊急度が高い問い合わせには最適。相手の声色や反応を感じ取れる。
- メリット: 対話しながら状況を深掘りできる、トラブルシュートを具体的に誘導しやすい。
- デメリット: 記録を残すには手間がかかる、スタッフやユーザーの時間を拘束する。通話環境によっては聞き取りづらい場合も。
2-2. メール対応
- 特徴: 非同期コミュニケーション。文章で残るため、記録としても有効。
- メリット: 送信・受信時点の内容がログとして残りやすい、時差のあるやり取りや海外とのやり取りに強い。
- デメリット: 即時性が低く、往復に時間がかかる。誤字や文面の丁寧さなどで印象が左右されるリスク。大量のメールが埋もれる場合も。
2-3. チャット対応(Webチャット・チャットツール)
- 特徴: リアルタイムかつテキストでコミュニケーション。画像やURLリンクを簡単に共有できる場合も。
- メリット: 電話ほど拘束されずに素早いやり取りが可能。対話ログを検索・引用しやすい。AIチャットボットとの連携もしやすい。
- デメリット: スタッフが常時チャット画面を監視する必要があり、負荷が高い。ユーザーが離席したまま応答しないケースも。
2-4. Webフォーム(問い合わせフォーム)
- 特徴: ユーザーがWeb上で項目を入力し、サービスデスクに送信する形態。
- メリット: 必要な情報(端末情報やエラーメッセージなど)をフォームで必須入力にでき、漏れが減る。
- デメリット: ユーザーによっては操作が煩わしく感じられる場合も。問い合わせ後のレスポンスをどう提供するか(メール返信?)設計が必要。
2-5. SNS・メッセージングアプリ
- 特徴: TwitterやLINEなど、ユーザーが普段使い慣れたチャットサービスを経由して問い合わせするケース。
- メリット: 若年層や一般ユーザー向けBtoCサービスでは、使い慣れたプラットフォームで問い合わせできる利便性が高い。
- デメリット: ビジネス利用を想定していないSNSの場合、管理やセキュリティが課題になりやすい。正式な問い合わせと混在するリスクも。
3. 運用ルールとチャネル戦略
3-1. チャネルごとの役割分担を明確にする
「緊急時は電話」「一般的な問い合わせはメールやフォーム」「簡単な質問や自己解決を促すならチャットボット」など、どのチャネルがどんな用途に最適かを整理し、ユーザーやスタッフに周知するのが基本です。すべてのチャネルを同列に扱うと、スタッフの手が足りなくなったり、ユーザーがどこに問い合わせればいいか迷ったりするおそれがあります。
3-2. SLAや応答時間の設定
チャネルごとに「○時間以内に初回返信」「電話対応は即時、メールは24時間以内」などのSLAを定めることで、ユーザーの期待値をコントロールできます。チャットも常時リアルタイム対応できるのか、営業時間を限定するのかをはっきり示すと、スタッフ側の負担を適切にコントロールできるでしょう。
3-3. 一元管理ツールの活用
電話やメール、チャットなど複数チャネルからの問い合わせを一元化できる管理ツール(Zendesk, Freshdesk, ServiceNow, Jira Service Management など)を導入すれば、どのチャネル経由の問い合わせも同じチケットとして扱い、ステータスや対応担当を統合できるため、運用が楽になります。すべての応対履歴が一箇所にまとまるので、分析やレポーティングもしやすいメリットがあります。
3-4. マニュアルやナレッジベースとの連携
どんなチャネルであれ、最終的には同じナレッジベースやFAQを参照することが多いはずです。チャットや電話の最中でも、スタッフがキーワード検索で関連マニュアルを即座に開けるようにし、回答のバラつきを防ぎます。さらに、メール返信やチャット回答でよくある定型文はテンプレート化し、コピペで対応できるようにすると効率が上がります。
4. チーム体制とスタッフ教育
4-1. 各チャネルのスキル育成
電話対応では声のトーンや言葉遣い、メールでは正しい敬語と読みやすい段落構成、チャットでは素早いレスポンスと短文スキルなど、チャネルごとに必要なコミュニケーション技術が異なります。スタッフの得意・不得意を見極め、それぞれのチャネルに合った研修やロールプレイを行うと良いでしょう。
4-2. シフト制やチャンネル専任制
問い合わせ量が多い場合、時間帯やチャネルごとに担当を分けるシフト制を導入するのも方法の一つです。例えば「午前中はAさんが電話担当、Bさんがチャット担当」などとすると、集中して各チャネルに応対できる一方、全チャネル対応できるスタッフが減るデメリットもあります。組織の規模や問い合わせパターンに合わせて設計が必要です。
4-3. フィードバックと品質向上
スタッフが受けた問い合わせ応対を相互にモニタリングし、良い点・改善点をフィードバックし合うカルチャーを作ると、マルチチャネルでも品質が均一化しやすくなります。電話の録音やチャットログを見直しながら学び合う仕組みは、対応スキルを着実にアップさせる効果的な方法です。
5. ユーザー視点の設計と今後の展望
5-1. “スマート”な問い合わせ導線を提供する
「まずはセルフサービス(FAQやチャットボット)で検索→解決しなければメールやフォーム→緊急の場合は電話」といった流れをWebサイトや社内ポータルで案内し、ユーザーが迷わず最適なチャネルを選べるよう誘導します。リンクをわかりやすく配置し、FAQ・チャットボット・問い合わせフォームなどをシームレスに切り替えられるUIが理想です。
5-2. チャットボットやAIの活用
近年、AIチャットボットや自然言語処理技術の進歩により、よくある質問への自動応答を実装する企業が増えています。これにより、ユーザーの自己解決率を高め、スタッフの稼働を節約できます。ただし、AI導入にはナレッジベースの整備や継続的な学習が欠かせないため、導入前に運用体制をしっかり検討しましょう。
5-3. フィードバックループで持続的改善
どのチャネルがユーザーにとって使いやすいか、問い合わせ件数や内容、スタッフ負荷の状況などを定期的に分析し、チャネル構成やSLAを微調整していく仕組みが大切です。ユーザーアンケートやログ解析を活用し、「電話が繋がりにくい時間帯がある」「チャットの回答が遅れがち」などの課題を把握して、柔軟に運営を見直していきましょう。
まとめ
マルチチャネル時代の問い合わせ対応は、ユーザーの利便性を高める一方、サービスデスク側の運用が煩雑化するリスクも潜んでいます。成功のポイントは次のとおりです。
- チャネルごとの明確な役割分担: 緊急度や問い合わせ内容に応じて最適な窓口を定義。ユーザーに分かりやすく提示する。
- SLAと一元管理: 多チャネルの問い合わせを一つのチケット管理システムに集約し、対応状況を可視化。チャネルごとに応答時間を設定してブレを防ぐ。
- スタッフ教育とシフト設計: 電話・メール・チャットなど、それぞれに適した対応スキルや体制を整備。得意分野を活かしながらも横断的にフォローできる体制を目指す。
- 継続的な改善とフィードバック: ログやユーザーアンケートを分析し、チャネルの運用ルールや手順をアップデートし続ける。
次回の記事では、「スタッフスキル標準化:研修マニュアルを整備するメリット」について取り上げます。マルチチャネル対応の背景でも、スタッフ一人ひとりのスキルをどう底上げし、均一化するかが大きな鍵となります。ぜひ引き続きご覧ください。
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