「社会人としてのセキュリティリテラシーを高める方法」(第5回/全8回)

投稿日:2024年5月13日 | 最終更新日:2024年5月14日

5.公衆無線LANの危険性と安全な利用方法

こんにちは。前回は、SNSやブログでの情報発信における注意点について解説しました。今回は、公衆無線LANの危険性と安全な利用方法を取り上げます。

公衆無線LANは、カフェやホテル、駅などで提供されている無料のWi-Fiサービスのことです。スマートフォンやタブレット、ノートPCなどで手軽にインターネットに接続できるため、利用者は年々増加しています。

  • 国内の公衆無線LANの利用者数は、年間で約1億5千万人に上る(総務省調べ)
  • 海外からの旅行者の約70%が、日本滞在中に公衆無線LANを利用している(観光庁調査)
  • 全国の自治体の約60%が、防災や観光目的で公衆無線LANを提供している(総務省調べ)

一方で、公衆無線LANには安全性の面で課題があることも指摘されています。適切な対策を取らずに利用すると、個人情報の漏洩や不正アクセスのリスクがあるのです。

■公衆無線LANの危険性

公衆無線LANには、以下のような危険性があります。

通信内容の盗聴

公衆無線LANは、暗号化されていない通信が多いため、第三者に通信内容を盗聴される恐れがあります。メールやSNSの内容、クレジットカード情報などが漏洩する可能性があります。

なりすましアクセスポイント

悪意のある第三者が、本物の公衆無線LANになりすましたアクセスポイントを設置することがあります。利用者が無防備に接続すると、個人情報を盗まれたり、マルウェアに感染したりするリスクがあります。

Wi-Fiダイレクトの悪用

スマートフォンやタブレットのWi-Fiダイレクト機能が、悪意のある第三者に悪用される可能性があります。機器間の直接通信を利用して、不正にファイルを送信されるケースもあります。

マルウェアの感染

公衆無線LANを介して、スマートフォンやタブレット、ノートPCがマルウェアに感染する恐れがあります。OSやアプリケーションの脆弱性を突かれ、遠隔操作される可能性もあります。

これらの危険性は、利用者が適切な対策を取ることで、ある程度防ぐことができます。公衆無線LANを安全に利用するためのポイントを押さえておきましょう。

■安全に利用するための対策

公衆無線LANを安全に利用するためには、以下のような対策が有効です。

VPNの利用

VPN(Virtual Private Network)を利用することで、通信内容を暗号化し、盗聴を防ぐことができます。信頼できるVPNサービスを選び、必ず利用しましょう。

SSIDの確認

公衆無線LANに接続する際は、SSIDを確認します。なりすましアクセスポイントでないか、よく確かめてから接続しましょう。

HTTPSサイトの利用

オンラインショッピングやネットバンキングなどを利用する際は、HTTPSで暗号化されたサイトを利用します。URLが「https://」で始まっていることを確認しましょう。

ファイル共有の無効化

ノートPCやタブレットのファイル共有機能は、公衆無線LANでは無効にしておくことが賢明です。第三者にファイルを不正に閲覧されるリスクを防げます。

セキュリティソフトの導入

スマートフォンやタブレット、ノートPCには、セキュリティソフトを導入しておきましょう。マルウェアの感染を防ぎ、不正アクセスを検知してくれます。

OSやアプリケーションの更新

OSやアプリケーションは、常に最新の状態に更新しておくことが大切です。セキュリティ上の脆弱性を修正する更新プログラムが提供されているので、こまめに適用しましょう。

これらの対策を講じることで、公衆無線LANのリスクを最小限に抑えることができます。ただし、完全に安全というわけではないので、過度に気を緩めないことも重要です。

■企業における公衆無線LANの提供

カフェやホテル、小売店など、企業が公衆無線LANを提供する際は、以下のような点に注意が必要です。

利用規約の明示

公衆無線LANの利用規約を明示し、利用者に同意を求めます。不正利用を禁止する旨を明記し、違反した場合の措置についても言及しておきましょう。

通信の暗号化

利用者の通信内容を保護するため、公衆無線LANの通信は暗号化することが望ましいです。WPA2やWPA3などの暗号化規格を採用し、定期的にパスワードを変更します。

利用者の認証

利用者を認証することで、不正利用を防ぐことができます。メールアドレスや電話番号による認証、SNSアカウントとの連携などが考えられます。

フィルタリングの実施

公衆無線LANでは、違法・有害情報のフィルタリングを実施することが求められます。青少年保護の観点からも、適切なフィルタリングは欠かせません。

利用状況の監視

公衆無線LANの利用状況を監視し、不正利用の兆候がないかチェックします。監視ツールを導入し、ログを定期的に分析することが効果的です。

企業が公衆無線LANを提供する際は、利用者の安全性とプライバシーを守ることが何よりも大切です。適切なセキュリティ対策を講じ、継続的な管理・監視を怠らないようにしましょう。

■まとめ

公衆無線LANは、外出先でのインターネット接続に欠かせないサービスです。一方で、適切な対策を取らずに利用すると、セキュリティ上のリスクがあることも事実です。

  • 公衆無線LANには、通信内容の盗聴やなりすましアクセスポイントなどの危険性がある
  • VPNの利用、SSIDの確認、HTTPSサイトの利用など、安全に利用するための対策を講じる
  • 企業が公衆無線LANを提供する際は、利用者の安全性とプライバシーを守ることが大切

公衆無線LANを利用する際は、これらの点に注意しましょう。セキュリティ意識を高め、適切な対策を取ることが、安全なインターネット利用につながります。

次回は、「モバイルデバイスのセキュリティ:スマートフォンやタブレットの保護策」を取り上げます。お楽しみに!

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